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治療に関する同意取得が困難な場合の対応は?

2022/01/26
大島 眞一(大阪高裁 部総括判事)

 今回は、説明義務に関連して、「医師は誰に対し説明して医療行為の同意を得るか」という点について考えてみます。

 患者は、自己の身体においていかなる医療行為をするのかを決める権利がありますので、医師としては、患者に対し説明し、患者自身から同意を得ることを要する点については、疑う余地はありません。

 問題になるのは、患者が未成年者、精神疾患者、意識不明者など、説明をしても十分に、あるいは全く理解できない場合です。同意することについてどの程度の能力を要するかは、法令上定めはありません。

 最高裁平成14年9月24日判決(判例タイムズ1106号87ページ)は、「末期がんの患者に対して、本人にその旨を告知すべきでないと判断した場合には、患者の家族等のうち連絡が容易な者に対しては接触し、告知に適した患者の家族がいたときは、その者に告知すベき義務がある」としていますが、患者の判断能力の点から判示した最高裁判決はありません。

著者プロフィール

おおしま しんいち氏●1984年神戸大学法学部卒、司法修習生(38期)。京都地裁判事、大阪高裁判事、神戸大学法科大学院教授、大阪地裁判事などを経て、2017年徳島地家裁所長、2018年奈良地家裁所長、2020年2月より現職。大阪地裁では医療訴訟を扱う医事部の総括を務めた。『Q&A医療訴訟』(判例タイムズ社)などの著書がある。

連載の紹介

裁判官が語る医療訴訟の実像
医療訴訟が提起されたらどのようなプロセスを経て和解や判決に至るのか、個々の裁判に影響を与えるリーディング・ケース(重要判例)とは――。大阪地裁で医療訴訟を専門に取り扱った経験を持つ著者が、これまでの経験を踏まえ、医療訴訟の実像を分かりやすく紹介します。
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