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美容整形の裁判は一般の医療訴訟とどこが違う?

2020/11/25
大島 眞一(大阪高裁 部総括判事)

 今回は、少し視点を変えて「美容整形」について述べてみたいと思います。

 美容整形は、他の医療とは異なった特殊性を有します。すなわち、二重瞼の形成、豊胸などの美容整形は、疾患に対する治療という側面に欠け、容姿を美しく見せることを目的とするものですから、治療によって患者の生命維持や健康の回復・増進を目的とするものとは異なります。しかし、美容整形においても、医師は患者に対し専門医学的な知識に基づき技術を施す点で、治療を目的とする医療と同様です。したがって、美容整形も他の医療と基本的に同様に考えることができますが、その特質から、異なった面があることも否定できないように思います。
 
 美容整形の特質としては、(1)二重瞼の形成や豊胸などの場合、基本的に何らかの疾患があるわけではなく、精神的な不満の解消を目的としたものである、(2)緊急性に乏しい、(3)このため、医師としては「最善を尽くす」という義務よりも、患者が希望している二重瞼にするなどという「結果を請け負う」義務を有していると見ることも可能である──という点が挙げられます。

 美容整形に関する最高裁判決はありません。以下では、下級審の判決を紹介し、美容整形の医療行為上の注意義務や説明義務、損害の考え方を見てみることにしましょう。

著者プロフィール

おおしま しんいち氏●1984年神戸大学法学部卒、司法修習生(38期)。京都地裁判事、大阪高裁判事、神戸大学法科大学院教授、大阪地裁判事などを経て、2017年徳島地家裁所長、2018年奈良地家裁所長、2020年2月より現職。大阪地裁では医療訴訟を扱う医事部の総括を務めた。『Q&A医療訴訟』(判例タイムズ社)などの著書がある。

連載の紹介

裁判官が語る医療訴訟の実像
医療訴訟が提起されたらどのようなプロセスを経て和解や判決に至るのか、個々の裁判に影響を与えるリーディング・ケース(重要判例)とは――。大阪地裁で医療訴訟を専門に取り扱った経験を持つ著者が、これまでの経験を踏まえ、医療訴訟の実像を分かりやすく紹介します。
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