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救命できた「相当程度の可能性」を否定、医師の過失は?

2020/06/24
大島 眞一(大阪高裁 部総括判事)

 今回から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の話題を離れ、再び医療訴訟のお話に戻らせていただきます。

 医師の過失行為と結果発生(死亡など)との因果関係については以前、死亡との因果関係が認められない場合でも、救命できた「相当程度の可能性」があれば、その可能性を侵害したものとして損害賠償が認められることを記載しました(関連記事:死亡との因果関係がないのになぜ慰謝料?)。

 この考え方は、死亡以外に、重大な後遺症が残った場合にも適用されます(最高裁平成15年11月11日判決・民集57巻10号1466ページ)。他方、それ以外の後遺症については、「相当程度の可能性」が認められても、損害賠償は否定されています。

 つまり、人にとって、生命を維持し、あるいは重大な後遺症が残らないようにすることは、最も基本的な利益であり、その可能性は法的保護に値すると考えられています。故に、可能性を侵害したと判断された場合に、損害賠償が認められるわけです。

 では、死亡したり重大な後遺症が残ったが、救命できたり重大な後遺症が残らない「相当程度の可能性」も認められない場合は、どうなるのでしょうか。そうした事例として、最高裁平成17年12月8日判決(判例タイムズ1202号249ページ)を紹介します。

著者プロフィール

おおしま しんいち氏●1984年神戸大学法学部卒、司法修習生(38期)。京都地裁判事、大阪高裁判事、神戸大学法科大学院教授、大阪地裁判事などを経て、2017年徳島地家裁所長、2018年奈良地家裁所長、2020年2月より現職。大阪地裁では医療訴訟を扱う医事部の総括を務めた。『Q&A医療訴訟』(判例タイムズ社)などの著書がある。

連載の紹介

裁判官が語る医療訴訟の実像
医療訴訟が提起されたらどのようなプロセスを経て和解や判決に至るのか、個々の裁判に影響を与えるリーディング・ケース(重要判例)とは――。大阪地裁で医療訴訟を専門に取り扱った経験を持つ著者が、これまでの経験を踏まえ、医療訴訟の実像を分かりやすく紹介します。
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