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PCR検査問題に思う「ないこと」の証明の難しさ

2020/03/25
大島 眞一(大阪高裁 部総括判事)

 最近は、新型コロナウイルス感染症によって、世界中が染まっていく感じがします。3月23日時点で感染者数が30万人を超え、死亡者数が1万5000人近くに達していることからして、うなずけるところです。

 新型コロナウイルスのPCR検査で、「検査結果が陰性であっても、ウイルスに感染していないとは限らない」点について、検査で陰性であればウイルスに100%感染していないとの誤解があり、メディアで話す専門家には正しく説明する役割がある、という指摘があります(海原純子氏「新・心のサプリ」、毎日新聞3月15日)。

 この点で裁判に関し思い出すのは、「ないこと」の証明です。例えば、Yが土地を占有(占拠)しており、土地所有者Xが占有者Yに対し土地の明け渡しを求める訴訟を考えてみましょう。Yは「Xから土地を借りて使用している」と主張し、Xは「貸していない」と主張するようなケースです。貸し借りに関する契約書は存在せず、Yは「Xは以前、確かに土地を貸してくれると言っていた」と主張し、Xは「そんなことは言っていない」と反論する──そんな状況です。

著者プロフィール

おおしま しんいち氏●1984年神戸大学法学部卒、司法修習生(38期)。京都地裁判事、大阪高裁判事、神戸大学法科大学院教授、大阪地裁判事などを経て、2017年徳島地家裁所長、2018年奈良地家裁所長、2020年2月より現職。大阪地裁では医療訴訟を扱う医事部の総括を務めた。『Q&A医療訴訟』(判例タイムズ社)などの著書がある。

連載の紹介

裁判官が語る医療訴訟の実像
医療訴訟が提起されたらどのようなプロセスを経て和解や判決に至るのか、個々の裁判に影響を与えるリーディング・ケース(重要判例)とは――。大阪地裁で医療訴訟を専門に取り扱った経験を持つ著者が、これまでの経験を踏まえ、医療訴訟の実像を分かりやすく紹介します。
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