今回も、医療裁判で医師の過失がどのように認められるかについて考えてみます。
 医師の過失の有無を判断する際の基準となるのが「医療水準」で、医療水準を満たしていないと過失が認められます。医療水準は、前回書きましたように、未熟児網膜症の診療において新しい治療法である光凝固法を実施しなかったこと、あるいは実施している医療機関に転医しなかったことが過失と言えるか、という議論を起点としています。つまり、医療水準が問われるのは、新たな治療法をすべき義務があったかが問題となる場面です。
 これに対し、既にそうした議論をするまでもなく、一定の義務が確立しており、その義務からの逸脱の有無・程度を問えば足りる場合には、医療水準を援用する必要はありません。

医師の過失の判断基準は「医療水準」以外にもの画像

ログインして全文を読む