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治療法選択の「熟慮」の機会与えず敗訴

2019/03/26
大島 眞一(奈良地家裁所長)
治療法選択の「熟慮」の機会与えず敗訴の画像

 今回は、治療方針の説明において「経過観察」の選択も含まれる場合の対応を考えてみます。
 医師が治療方針を検討する際、幾つかの療法に関する選択肢とともに、「いずれの療法も受けずに保存的に経過を観察する」という選択肢を提示する場合があります。こうしたケースで、近年、治療前の説明義務を巡り紛争が発生しているものとして、未破裂脳動脈瘤の予防的手術が挙げられます。
 未破裂脳動脈瘤については、「保存的に経過を見る」選択肢と「治療をする」選択肢があり、「治療をする」の中には開頭手術やコイル塞栓術などの選択肢があります。開頭手術、コイル塞栓術はいずれも、医療水準(安全性・有効性が確立している治療法)に適合したものとされています。

著者プロフィール

おおしま しんいち氏●1984年神戸大学法学部卒、司法修習生(38期)。京都地裁判事、大阪高裁判事、神戸大学法科大学院教授、大阪地裁判事などを経て、2017年徳島地家裁所長、2018年11月より奈良地家裁所長。大阪地裁では医療訴訟を扱う医事部の総括を務めた。『Q&A医療訴訟』(判例タイムズ社)などの著書がある。

連載の紹介

裁判官が語る医療訴訟の実像
医療訴訟が提起されたらどのようなプロセスを経て和解や判決に至るのか、個々の裁判に影響を与えるリーディング・ケース(重要判例)とは――。大阪地裁で医療訴訟を専門に取り扱った経験を持つ著者が、これまでの経験を踏まえ、医療訴訟の実像を分かりやすく紹介します。
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