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裁判官の立場から見た「時間外労働の上限」問題

2019/02/26
大島 眞一(奈良地家裁所長)

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」において、医師の時間外労働の上限規制を原則年間960時間以内・月100時間未満とし、地域医療確保の観点からやむを得ずこの水準を到達できない場合には、暫定的な措置として「年間1860時間」とする事務局案が提示されました。研修医など、技能向上のために一定期間、集中的な診療を必要とする医師についても「年間1860時間」の特例を適用する案を示しています(関連記事)。

 かつて労働災害事件を裁判所で数年間担当していたことがあり、過労死等はかなりの件数を経験しました。過労死等の判断基準に関しては、厚労省労働基準局長通達「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」があります。これは行政の解釈基準であり、裁判所を拘束するものではありませんが、一般的に認められている知見に基づいて定められたものであり、裁判実務においても、それに依拠して判断するのが一般的です。

著者プロフィール

おおしま しんいち氏●1984年神戸大学法学部卒、司法修習生(38期)。京都地裁判事、大阪高裁判事、神戸大学法科大学院教授、大阪地裁判事などを経て、2017年徳島地家裁所長、2018年奈良地家裁所長、2020年2月より現職。大阪地裁では医療訴訟を扱う医事部の総括を務めた。『Q&A医療訴訟』(判例タイムズ社)などの著書がある。

連載の紹介

裁判官が語る医療訴訟の実像
医療訴訟が提起されたらどのようなプロセスを経て和解や判決に至るのか、個々の裁判に影響を与えるリーディング・ケース(重要判例)とは――。大阪地裁で医療訴訟を専門に取り扱った経験を持つ著者が、これまでの経験を踏まえ、医療訴訟の実像を分かりやすく紹介します。
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