今回は、転医義務について考えたいと思います。人的態勢や物的設備の関係で、適切な医療行為を自ら行うことができない場合、医師には、患者を別の医療機関に転送して適切な医療行為を受けられるようにすることが求められます。例えば手術を要する場合、自院では対応できず、より高次の医療機関に転送するほかないことがあります。この場合、当該医療機関で手術をしなかったことについて過失を問われることはありませんが、転送の遅れが過失として問われることがあります。この義務は、「転医義務」あるいは「転送義務」と呼ばれています。
 転医義務は、医師と患者との間の診療契約上の義務に含まれると考えられます。医療法1条の4第3項においても、「医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携に資するため、必要に応じ、医療を受ける者を他の医療提供施設に紹介」することを規定しています。

高次医療機関への転送義務が生じる3つの要件の画像

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