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ネットの書き込みで開示・削除請求、認容例と棄却例の差は?

2022/04/13
墨岡 亮 矢古宇 匠(仁邦法律事務所)

 ある日、ネットで自院について検索したところ、5段階評価で最低の「星1つ」を付けられ、「過去受診した中で最悪の病院。受付の態度も悪い上、医者も上から目線」という口コミが載っていた。日頃から接遇には気をつけていたつもりなのに……。

 読者の方々は、こんな経験をされたことはないでしょうか。ここ数年、患者が医療機関を選択する際に、口コミサイトの記載や、検索サイトに表示される口コミ評価を参考にすることが多くなっています。いい内容の書き込みばかりであればいいのですが、悪い内容の口コミの影響は大きく、特に事実無根の記載などの悪質な書き込みへの対応に頭を悩ますことも増えてきました。「口コミ対策」と銘打ったビジネスを展開する業者が、医療機関に対して営業攻勢をかけているという報道も見られます1)

 悪質な書き込みへの対応は、返信機能を用いて返信する、口コミサイト等の運営事業者へ削除申請を出す、投稿者が分かっている場合には投稿者と直接話をする、法的手続きを取る、といったことが考えられます。それぞれにメリット、デメリットがあるのですが、例えば、虚偽の口コミを投稿されたとして口コミサイト等の運営事業者に削除申請を出しても、「内容の真偽が分からない」として対応しないことがほとんどです。そのため、やむなく法的手続きを検討しなければならないケースが出てきます。

 法的手続きとしては、(i)口コミサイト等への削除請求、(ii)投稿者(発信者)のIPアドレスから氏名・住所などの情報開示を求める一連の請求(および、その後の投稿者に対する損害賠償請求)──があります。手続きは異なりますが、実際は同じような法律上の要件を満たすかどうかが問われることとなります。

 今回は、最近の裁判例から、医療機関側の請求が(一部でも)認められたケースと、認められなかったケース(口コミサイト等の他、ブログの記載を含む)とに分けて、事例を見ていくこととします。

連載の紹介

日常診療に生かす医療訴訟の教訓
患者とのトラブルで頭を悩ませないようにするためには、日々の診療で紛争予防を意識した対応をしておくことが欠かせません。本連載では、医療機関側の弁護活動を行う仁邦法律事務所(東京都港区、桑原博道所長)の弁護士が、実際の裁判例も参照しつつポイントを解説します。

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