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身体拘束で刑事告訴も、紛争防止のポイントは?

2021/09/08
墨岡 亮 田村 孔(仁邦法律事務所)

 逮捕・監禁罪という犯罪をご存じでしょうか? 刑法220条では「不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する」として、逮捕および監禁の罪を定めています。逮捕とは「身体を直接拘束して移動の自由を奪うこと」、監禁とは「一定の場所から脱出できなくすること」ですが、これらは実は医療・介護分野ではとても身近な身体拘束の話につながります。

 医療従事者であっても、患者の同意なく、また正当な理由なく身体拘束をすると、こうした「犯罪」と判断される場合もあり得るのです。過去には、引きこもりの人の支援をうたう民間事業者を経由して男性が医療保護入院となり、入院中に身体拘束をされたことについて、逮捕・監禁罪などで病院職員・医師などを刑事告訴したとの報道もありました。

 一方、民事訴訟に関しては、今年6月24日、摂食障害で入院していた女性(当時14歳)を病院が77日間ベッドに拘束したケースで、患者側の一部勝訴判決が出たとの報道がありました。この患者さんは実名で記者会見を行ったこともあって話題となり、改めて身体拘束について議論が沸き起こりました。

 医療機関における身体拘束の違法性について判断された最高裁判例が出されてから、約10年が経過しており、その間に、下級審の判決も幾つか出されています。そこで、今回は改めて、患者さんへの身体拘束に関する裁判例を見ていくことにします。

連載の紹介

日常診療に生かす医療訴訟の教訓
患者とのトラブルで頭を悩ませないようにするためには、日々の診療で紛争予防を意識した対応をしておくことが欠かせません。本連載では、医療機関側の弁護活動を行う仁邦法律事務所(東京都港区、桑原博道所長)の弁護士が、実際の裁判例も参照しつつポイントを解説します。

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