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「わいせつ」が問われた過去の裁判例の教訓は

2020/08/12
墨岡 亮 淺野 陽介(仁邦法律事務所)

 「逆転有罪」。7月13日に報道された判決の結果に、衝撃を受けた医療関係者は多いでしょう。乳腺腫瘍術後に病室のベッド上に横たわる女性患者の着衣をめくって左乳房を露出させて、左乳首を舐めるなどしたということで、医師が起訴されていた事件の控訴審判決で、東京高裁第10刑事部は、医師を無罪とした地裁の判断を覆して、懲役2年の有罪判決を下しました。

 術後、4人部屋の病室での手術直後の診察時という、医療関係者から見るとわいせつ行為が行われるとは考えにくい状況、術直後でせん妄が生じやすいという医学的知見などから、控訴審でも無罪判決が出るのではないかと考えていた医療関係者も多かったと思われます。

 他人に対して「わいせつな行為」を行った場合、強制わいせつ罪(抗拒不能に乗じた場合には、準強制わいせつ罪)の成否という刑事責任が生じます。そして、同時に損害賠償責任の有無という民事上の問題も生じます。そこで、今回は、医療機関で行われたとされる過去の「わいせつな行為」に関する事例について、大きく2つのパターンを紹介し、裁判所がどのような点に着目をしているのか、そして、そこから得られる教訓をお示しします。

連載の紹介

日常診療に生かす医療訴訟の教訓
患者とのトラブルで頭を悩ませないようにするためには、日々の診療で紛争予防を意識した対応をしておくことが欠かせません。本連載では、医療機関側の弁護活動を行う仁邦法律事務所(東京都港区、桑原博道所長)の弁護士が、実際の裁判例も参照しつつポイントを解説します。

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