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患者が「検査すべきだった」と提訴、判決が示す教訓とは?

2020/07/08
墨岡 亮 矢古宇 匠(仁邦法律事務所)

 「かぜの症状があるのでPCR検査をしてください」──。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行する中、患者からそんな依頼を受けた読者の方々も少なくないのではないでしょうか。

 PCR検査という、これまで、医療従事者を含めた一部の方々にだけしか使われていなかった専門用語が、今や一般的な言葉になりました。抗原、抗体検査といった言葉もメディアで頻繁に報道され、「検査」に対する一般国民の関心が非常に高まったといっていいでしょう。

 他方で、日本から海外に渡航する際に、PCR検査などによる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の「陰性証明」を求める国もあり(7月7日現在)、さらには、かぜ症状で休んだ従業員に就業先が陰性証明を要求する事例や、新型コロナウイルスのPCR検査を断った医師を脅して無理やり検査を受けようとした事例なども報告されています。「感度」「特異度」といった言葉も耳にするようになりましたが、「検査の意義」については、患者を含めて十分に浸透してはいない印象があります。

 新型コロナウイルスに限らず、検査の意義や必要性に関する医師と患者との認識の違いからトラブルになり、裁判にまで至ってしまうケースは少なくありません。そこで、今回は、そうした事例で裁判所がどのような判断をしているのか、4つの裁判例を紹介し、そこから得られる教訓をお示しします。

連載の紹介

日常診療に生かす医療訴訟の教訓
患者とのトラブルで頭を悩ませないようにするためには、日々の診療で紛争予防を意識した対応をしておくことが欠かせません。本連載では、医療機関側の弁護活動を行う仁邦法律事務所(東京都港区、桑原博道所長)の弁護士が、実際の裁判例も参照しつつポイントを解説します。

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