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添付文書とガイドラインで異なる記載、どちらを優先?

2019/07/10
桑原 博道 淺野 陽介(仁邦法律事務所)

 医薬品の使用が関係する医療訴訟で、医師の過失などを判断する材料として医薬品の添付文書が重視されることはご存じかと思います。

 実際、この点については有名な最高裁判例があり、「医師が医薬品を使用するに当たって添付文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合には、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される」としています(1996年1月23日判決)。

 この最高裁判例について少し解説しますと、一般の医療訴訟では、医師の過失を証明する責任は原告(患者側)にあり、医師の過失が推定されることはありません。しかし、添付文書と異なった使用をした場合には、そうした使用について「特段の合理的理由」がない限り、医師の過失が推定されるという判断が示されたわけです。

 ただし、「特段の合理的理由」があれば医師の過失は推定されないため、医師側としては「特段の合理的理由」があるかどうかが重要になります。医薬品の使用が関係する医療訴訟では、この考え方が現在の裁判実務を支配しています。

連載の紹介

日常診療に生かす医療訴訟の教訓
患者とのトラブルで頭を悩ませないようにするためには、日々の診療で紛争予防を意識した対応をしておくことが欠かせません。本連載では、医療機関側の弁護活動を行う仁邦法律事務所(東京都港区、桑原博道所長)の弁護士が、実際の裁判例も参照しつつポイントを解説します。

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