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その「試算表」、うのみにしても大丈夫ですか?

2022/04/08
井内 徹(ナレッジハンズ)

 医療機関の中には、「損益計算書/月次試算表」を基に、日々の経営判断をされているところが多いと思います。例えば、黒字なら「安心」、あるいは積極的に投資、赤字なら「改善」、あるいは投資を控える、といった意思決定がなされているのではないでしょうか。

 以前の月次試算表では、賞与も支払われたタイミングで計上されているものをよく目にしました。そのため、賞与の支払い月である7月や12月は毎年大赤字になります。加えて、その翌月の8月や1月も赤字の医療機関が多くありました。翌月は賞与にかかる社会保険料が支払われ、計上されるためです。

 結果として、(日数の少ない2月を除く)それ以外の月は、逆に黒字になる可能性が極めて高くなります。これでは試算表を見るまでもなく、各月の黒字、赤字の結果はほぼ決まっていると言えます。お世辞にも、今この時点の経営実態を反映できているとは言えません。

 ようやく最近、賞与や、賞与にかかる法定福利費は「賞与引当金」として計上し、年間の賞与にかかる費用を12等分して、均等に計上する試算表が増えてきた気がします。

著者プロフィール

いうち とおる氏●2000年一橋大学経済学部卒。外資系コンサルティング会社、三菱商事が出資する(株)ライフタイムパートナーズを経て社会医療法人の本部長に就任し、新規事業立ち上げ、経営改善を進める。2010年(株)ナレッジハンズを設立し、病院経営支援、介護事業所運営、採用関連サイト「リケジョカフェ」「ドクターズプラス」の運営などを行う。全日本病院協会広報委員会委員。

連載の紹介

実録・現場視点の病院経営カイゼン
病院運営の改善に向けた手法には様々なものがありますが、ともすれば机上の空論に陥りがち。本連載では、社会医療法人の本部長を務めた経験を持ち、コンサルティングにおいて何よりも「現場視点」を重視している著者が、実例を基に改善の進め方を紹介します。

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