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がん診療UP TO DATE トピックス

がん化学療法中のアピアランス(外見)ケアへの取り組み

2014/04/10
金井久子(聖路加国際病院看護部)

写真1 実際のサロンの様子。患者さんは写っていませんが、美容師、ネイリストの対面に座っています。ウィッグを手に取って、試着大会が始まることもあります。

 私は看護師になって外科病棟に配属され、現在はブレストセンターで勤務しています。乳がん治療の発展は手術・薬物療法など目覚ましいものがあります。われわれ看護師は、1980年代から90年代にかけて、化学療法中の患者さんの最もつらい副作用の一つである吐き気や骨髄抑制などに着目し、ケアを組み立ててきました。

 吐き気については、制吐剤の進歩によりかなり回避できるようになってきました。一方、脱毛については、それも患者さんにとって耐えがたい苦痛の一つであるにもかかわらず、「治療中は髪が抜けてしまいます。仕方がないですね。でも、治療が終わればまた生えてきますよ」と説明をするのみでした。

 また、薬物療法が進化するにつれ、まつ毛やまゆ毛の脱毛や、爪が黒ずんだり割れたり、皮膚に色素沈着やしみが増えたり、にきびのような皮疹がでたり、外見が変化するといった副作用も次々と確認されるようになってきました。女性が圧倒的に多い乳がん患者さんにとって、このような外見の変化はとても苦痛で大きな悩みだったと思います。

 そのため、気持ちが落ち込んだり、外出を控えたり、職場や近所の方との関係に少し影響したという方もいらっしゃいました(もちろん、男性も同じだと思いますが)。もっとも、これらの患者さんの悩みに対して、われわれ医療者は「治療中は仕方がない」とあきらめていたような気がします。

連載の紹介

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日経メディカルブックス『がん診療UP TO DATE』の著者陣によるリレーエッセイです。がん治療に関する最新の話題や、日常診療の中で遭遇したエピソードなどを、自由な形式で綴ります。

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