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臨床研修プラクティス:実践!地域医療

第6回 胸が苦しいんです

2015/06/25
中川紘明(市立根室病院)、宮田靖志(国立病院機構名古屋医療センター)

 ※この記事は「臨床研修プラクティス」(文光堂)2009年9月号からの連載を転載したものです。

Episode6●娘さんが動悸と息切れを訴えてきた

 田中さんの娘さんは、車に乗っていたら急に動悸がして息苦しくなったため、車から降りて休むことにした。しかし、その後も症状が落ち着きそうになく、めまいや手足のしびれも出てきたため、救急車を呼んだ。救急車内で紙袋を顔に当てると、症状は少しずつ落ち着いていき、来院時には会話も普通にできるまで回復していた。

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そのとき、何をどう考えたか?

研修医 「過換気症候群ですね…。ペーパーバッグによる再呼吸法で症状も落ち着いたようですから、もしまた同じようなことがあったら、救急車を呼ばずに紙袋を顔に当てるように指導して、帰宅してもらおうかと思います。」

指導医 「過換気症候群というのはどういうものだったかな?」

研修医 「心理的ストレスが原因で過換気発作を起こすものだと思います。」

指導医 「じゃあ、過換気発作って何だろう?」

研修医 「呼吸が速くなって、換気量が多くなることだと思いますが…。そう言われるとうまく言えません…」

指導医 「無意識のうちに呼吸をしすぎて肺胞換気が過剰になることを過換気と言い、そのせいで循環器系、呼吸器系、消化器系、神経・精神系の症状をきたすことを過換気発作と言うんだよ。そして、発作の原因が器質的疾患によるものでない場合を過換気症候群と言うんだ1)。つまり、過換気発作をきたす多くの器質的疾患を鑑別・除外して初めて過換気症候群と診断することができるんだったね(表1)。」

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