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臨床研修プラクティス:抗菌薬をマスターする

予防的抗菌薬投与におけるメリハリ(後編)

2015/04/16
長尾美紀(京都大学医学部附属病院検査部・感染制御部)

 ※この記事は「臨床研修プラクティス」(文光堂)2008年10月号の特集を転載したものです。

感染性心内膜炎の予防はどのような場合にするの?

 次に、感染性心内膜炎の予防について考えてみましょう。

 感染性心内膜炎は日常診療では比較的まれな疾患です。しかし、ひとたび起こってしまうと、循環器科、外科、感染症科などの多岐にわたる知識や診断や治療を必要とする重要な疾患です。

 今までは、感染性心内膜炎の主な起因菌が口腔内の連鎖球菌であったことから、歯科治療との関連が重要視されてきました。事実、1997年に米国心臓病学会(AHA)から出されたガイドラインでは、中等度以上のリスクの心疾患がある場合は、歯科処置をはじめとした、一過性の菌血症を起こすような処置をする際には、抗菌薬の予防投与が推奨されてきました。

 しかし、近年になり、感染性心内膜炎の予防についての考え方が大きく変わってきました。その背景には、歯科治療がリスクであると示した正確なデータがないことや、歯科治療以外に、歯磨きや咀嚼などによる一過性の菌血症がより頻回に、日常的に起こっているということがあります。また、菌血症から感染性心内膜炎発症までの潜伏期間がどのくらいあるのかはわかっていないので、ますます歯科治療における予防投与の意味合いが疑問視されてきているのです。

 今回この稿では、2007年にAHAから出されたガイドラインをもとに予防投与について説明したいと思います。皆さんに知っておいてもらいたいのは、どのような状況のときに予防投与を考慮するのか、ということです。

 表4を見てください。表4には、予防投与の対象とされている心疾患を列挙しました。

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