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臨床研修プラクティス:抗菌薬をマスターする

抗菌薬投与をためらってはならない場面とその評価(後編)

2015/03/26
井口光孝(名古屋大学大学院医学系研究科特任助教(中央感染制御部))

 ※この記事は「臨床研修プラクティス」(文光堂)2008年10月号の特集を転載したものです。

重症の感染症かも、と判断したら…

 重症の感染症のとき“だけ”考えなければならない、しなければならないことは非常に少なく、通常の感染症のとき“も”必ず考えなければならないこと、しなければならないこと(A~D)を確実に押さえることが大切です。

A:患者さんのリスクを見積もる
既往歴・内服薬・手術歴・嗜好・職業歴・旅行歴・感染症患者との接触・家族歴、など

B:感染巣の同定を試みる
1)診断の鍵となる症状・所見(pertinent symptoms and signs)の聴取・診察
2)感染巣と疑われる部位からの検体採取
3)血液培養(2セット以上)の採取

C:起因菌を推測する

D:治療方法(抗菌薬の選択、外科的治療の適応など)を考える

 重症の感染症のとき“だけ”しなければならないことは、CとDにおいて『治療開始時に絶対に外さない』ことです。外せば待っているのは不幸な転帰ですから、AとBの情報から起こしうる“全て”の病原体を起炎菌候補として挙げ、その病原体“全て”をカバーする抗菌薬の組み合わせを投与し、必要があれば外科的治療を行います。この時点で耐性菌出現の危険性の議論をすることは“ナンセンス”です。

 ただ、この“全て”をカバーする治療は、『起因菌が判明したら直ちに最も適切な治療に切り替える』という条件(de-escalation)で行うものです。「効いている薬をわざわざ替える必要はない」などと漫然と続ける先生は、耐性菌を増やすお手伝いをしている訳です。

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