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臨床研修プラクティス:抗菌薬をマスターする

用法・用量設定の基本(前編)

2015/01/29
山本雅人(名古屋大学医学部附属病院薬剤部)

 ※この記事は「臨床研修プラクティス」(文光堂)2008年10月号の特集を転載したものです。

●抗菌薬は、PK/PD理論をしっかり意識して用法・用量を設定する。
●腎機能障害の患者には、腎障害の程度、薬剤の排泄/代謝経路に応じて用法・用量を調節する。
●グリコペプチド系薬およびアミノグリコシド系薬は、血中濃度モニタリングを実施する。


■はじめに
 抗菌薬の用法・用量について考えたことがありますか?抗菌薬は、抗腫瘍薬などと比較して、効果も安全性も高い薬剤ですので、どうしても安易に考えがちですが、抗菌化学療法を確実なものとするためには、やはり適切な用法・用量をしっかり意識しなければなりません。

 では、適切な用法・用量とはどのように設定すれば良いのでしょうか?その答えは、PK/PDと呼ばれる理論にあります。

PK/PDってなに?

 PK/PD理論とは、抗菌薬の有効性や安全性を、抗菌薬の血中動態“PK(pharmacokinetics、薬物動態学)”と、抗菌作用“PD(pharmacodynamics、薬力学)”の両者から検討したものです。

 通常、抗菌薬のPKパラメーターとしては、薬物血中濃度の時間推移から求めたAUC(area under the curve、血中濃度曲線下面積)やCmax(最高血中濃度)が用いられます。また、PDパラメーターとしては、起因菌のMIC(最小発育阻止濃度)が用いられます。

 これらを総合したPK/PDパラメーターの主なものとしては%T>MIC(Time above MIC:24時間の中で血中濃度がMICを超えている時間の割合)、AUC/MIC、Cmax/MICの3つがあげられますが、近年の研究の結果、臨床効果に相関するPK/PDパラメーターは、抗菌薬の系統により異なることが知られています(図1)。

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