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臨床研修プラクティス:病院当直でこんな症状を訴えられたら

胸が痛い、苦しい(後編)

2014/10/02
中川義久(天理よろづ相談所病院循環器内科

 ※この記事は「臨床研修プラクティス」(文光堂)2008年6月号の特集を転載したものです。

3.必要最低限としてどのような検査をすべきか?

 心電図、胸部X線写真、血液ガス分析の3つを行うべきである。血液ガス分析は経皮酸素モニターによるSpO2で代用することも不可能ではない。「まず行うべき検査」の典型的な検査所見を概説する。

〔1〕心電図
 心電図では、特に胸痛の症状のある時点で記録することに注意してほしい。心電図は虚血性心疾患の診断では非常に重要である。労作性狭心症ではST低下が、冠動脈スパスムの関与する異型狭心症ではST上昇が認められる。冠動脈スパスムの関与しているときには、ニトログリセリンの舌下により症状と心電図所見の改善が見られる。急性心筋梗塞では、急性期心電図でST上昇が認められ、ニトログリセリンが無効である。典型的な急性心筋梗塞で明らかなST上昇があれば、診断は容易にできるが、梗塞部位や経過によっては診断が容易でないこともある。急性心筋梗塞の2割は心電図のみでは診断がつかないといわれる。変化が僅かであったり、陳旧性心筋梗塞やST変化を伴う心肥大などの心電図異常が元来ある場合には、特に診断が困難となる。入院中の患者であれば、以前の心電図や入院時の心電図と比較することが助けになる。

〔2〕胸部X線写真
 胸部X線写真では、心陰影の拡大、肺うっ血、肺門部陰影の拡大、肺野の浸潤影、胸水の存在に注意する。縦隔陰影や大動脈弓の拡大、肺野の透過性亢進も見逃さないようにチェックする。心不全があれば肺うっ血を生じる。解離性大動脈瘤では右第1弓、左第1弓突出による縦隔拡大を生じる。気胸では肺虚脱を生じる。肺塞栓・肺梗塞では肺野での透過性亢進が見られる。

〔3〕血液ガス分析
 血液ガス分析では、低酸素血症、代謝性アシドーシスの有無に注意する。胸部X線写真で、うっ血がないにもかかわらず低酸素血症を認める場合には肺塞栓・肺梗塞を示唆する所見である。

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