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こんな検査異常を見つけたら〜考える臨床検査〜

ミニレクチャー:蓄尿はもう古い!

2014/07/31
飯沼由嗣(金沢大学臨床感染医学)

 ※この記事は「臨床研修プラクティス」(文光堂)2009年3月号の特集を転載したものです。

■なぜ蓄尿をしなくてはならないか考えよう

 従来蓄尿は、入院患者の多くに盲目的に実施されてきた。臨床医は、入院時オーダーとして蓄尿の指示を出すことが多いが、実際蓄尿されている現場を見る機会は少ないと思うので是非一度見学されたい。蓄尿をルーチンで行っている施設では、蓄尿瓶にためられた尿が多数並んでいる光景を見ることができるであろう。これは、見た目の悪さや臭気の問題のみならず、患者さんのプライバシーの問題、また尿が耐性菌のリザーバーとなることなど院内感染対策上も非常に問題である。まず臨床医として考えなければならないことは、なぜ蓄尿が必要なのかである。実際蓄尿を必要とする状況は、実はきわめて限定される。

 蓄尿の目的は、随時尿では変動が激しい腎機能の指標やホルモン等をより正確に知るために、24時間蓄尿中の成分を測定することである。蓄尿を用いた検査として、最も頻用されるのは腎機能検査(クレアチニン・クリアランス)であり、以下尿蛋白定量などとなる。これらの検査は通常連日行う必要はなく、特定日に実施するのみでよいはずである。ではなぜ蓄尿が入院中継続して行われているのか?それはおそらく尿量測定を行うためではないかと推測する。確かに、1回毎に尿量を測定しその都度記録するよりも、蓄尿した方が手間が省けるかもしれないが、先に述べたように、蓄尿を行うことのデメリットがはるかに上回る。また尿量測定自体も、必要性が乏しいのにもかかわらず実施されていることが多く、是非その必要性を見直していただきたい。

■蓄尿を行わない代替検査法

1.腎機能検査
 教科書的には、24時間蓄尿の尿中クレアチニン(Cr)を測定し、クレアチニン・クリアランス(Ccr)を算出することが最も正確な算出法と記載されている(図)。尿流出量が安定している患者であれば、尿量測定と随時尿中のCr濃度測定でもほぼ代用可能である。しかし、実際には蓄尿・尿量測定の不確実さなどによる誤差が問題となる。

 一方、血清Crから腎機能を簡易推定するCockcroft法は正確性では24時間Ccrには劣るが、大まかな腎機能がわかれば臨床的には事足りることが多い。どちらの方法で推定する場合でも、厳密な用量調節を行う場合には、血中濃度モニタリングが必要となる。更に2008年、日本腎臓病学会から血清Crを用いた慢性腎臓病のステージ分類のためのGFR推算式が発表され、こちらも腎機能簡易推定式として利用可能である(図)1)

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