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こんな検査異常を見つけたら〜考える臨床検査〜

尿素窒素が高い!(前編)

2014/04/24
和田幸寛(昭和大学腎臓内科) 木村聡(昭和大学横浜市北部病院)

 ※この記事は「臨床研修プラクティス」(文光堂)2009年3月号の特集を転載したものです。

 高尿素窒素血症は腎障害による排泄異常だけでなく、蛋白過剰摂取、脱水や異化亢進を背景にした腎外性要因でも生じる。一般にBUN/Cr比が上昇した症例では、腎外性要因の関与が示唆される。背景の病態を把握し、原因と進行過程に応じて治療することが大切である。

尿素窒素が高い原因および病態をどのように診断するか?

1.尿素窒素の値に影響するものは何か?
1)蛋白代謝と尿素窒素
 血中尿素窒素(blood urea nitrogen:BUN)は血液中に含まれる尿素由来の窒素を示す言葉であり、正常値は7~18mg/dLである。また、非蛋白性窒素の50~60%を占め、アンモニア、尿酸とともに窒素代謝の主要な最終代謝物である。消化管での吸収や筋組織の異化などから蛋白負荷を受けると、肝における尿素サイクルを介して尿素窒素(ureanitrogen:UN)が合成され、主に腎で排泄される。尿素のほとんどは腎臓より尿中に排出されるが、その一部は再吸収される(図1)。したがって、BUNには、(1)蛋白負荷、(2)肝での合成、(3)腎による排泄の3つの因子が主に影響する1,2)

2)蛋白負荷と尿素窒素
 高蛋白食の摂取や消化管出血では、腸管からの蛋白吸収が増加する。また、運動、発熱、火傷、外科的侵襲、副腎皮質ステロイド薬投与、重症感染症などの消耗性疾患、甲状腺機能亢進症などでも組織の異化が亢進し、蛋白負荷は増加する。蛋白負荷が増加すると、肝臓でのUN産生が亢進し、結果的にBUNは上昇する。一般に筋肉1kgが異化されると、約40gのUNが産生されると言われている。一方、菜食主義者や低蛋白食事療法中の患者では、BUNが低値である。

3)腎排泄と尿素窒素
 腎からのBUN排泄は、更に糸球体での濾過と尿細管での再吸収の2つの過程により制御されている。腎疾患によって糸球体濾過量が低下すると、尿中尿素排泄が低下するためBUN値は上昇する。また、脱水、出血、心不全、尿路不完全閉塞などでは尿細管流量の低下から、尿細管UNの再吸収が亢進し、BUN値は上昇する。逆に、尿崩症など多尿をきたす場合は尿細管での再吸収が低下し、BUNが低値となる。

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