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臨床研修プラクティス:あなたが起こす医原病

ミニレクチャー
腎性全身性線維症

2014/02/06
早川克己(京都市立病院放射線科)

 ※この記事は「臨床研修プラクティス」(文光堂)2009年12月号の特集を転載したものです。

■ NSFって?

 腎性全身性線維症、英文では、nephrogenic systemic fibrosis, 略称では頭文字を取ってNSFと言われる。

 近年出現した極めて新しい医原病であり、最初の報告は1997年で、当初は原因については不明であった。最初は人工透析を受けている患者に発生して皮膚が侵され、硬くなることから、fibrosing dermopathy of dialysis, nephrogenic fibrosing dermopathyと呼ばれていた。その後の調査や研究から、磁気共鳴画像診断(MRI)において用いられるガドリニウム系の造影剤の大量投与と併せて腎不全を有していることが原因であることがわかってきた1~3)

■症状および治療法は?

 臨床症状としては、皮膚の変化である。当初、主として下肢の皮膚に腫脹が出現して、その後皮膚の硬結に進行して、この変化が大腿から下腹部、稀には上肢まで広がる。また皮膚病変は、紅斑が出現してこれがいくつか癒合して、いわゆる炎症性乳癌においてみられる“peau d'orange”の様相を呈する。その後皮膚は硬化して木のように硬くなり、関節の拘縮を伴うようになる。歩行も困難になり、次第に寝たきりになる。こうした線維化病変は、皮膚のみならず、骨格筋、心筋、腎臓、精巣、硬膜などを侵し、死に至ることもある予後不良の疾患である1)。表に臨床像をまとめたものを示す。皮膚を侵す他の強皮症や硬化性粘液水腫などとの鑑別点としては、paraproteinが検出されないこと、上半身や顔面、頸部、腕、手などが侵されにくい点は重要である。

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