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Cadetto Special●冬の救急

【Vol.7】一酸化炭素中毒
安易に帰せばCOに再び曝露させる恐れ

2018/01/24
増谷 彩=日経メディカル

(Illustration:Koji Watanabe)

 雪がほとんど降らない地方から雪国に出掛け、大雪の中、車中で待機。車のマフラー周辺が雪で埋まると一酸化炭素(CO)を含む排気ガスが車内に充満することを知らず、CO中毒に─―。

 ここまで典型的な例に遭遇することは少ないかもしれないが、この時期、意識障害や頭痛、嘔吐の症状を来す患者の鑑別疾患に、CO中毒を忘れないようにしたい。

 閉め切った部屋での暖房器具の不具合、火災、自殺企図によってCO中毒を来す場合もある。湘南鎌倉総合病院の関根氏は、「茶道のお茶会の後に頭痛や気分不良を訴えて受診した人がCO中毒だった例がある。茶室という狭い空間で炭を使ったことが原因のようだ」と話す。曝露していた時間にもよるが、重篤になれば意識消失や痙攣、低酸素による胸痛などの症状が表れる。

 名古屋掖済会病院(名古屋市中川区)で診療する後藤縁氏は、自殺企図や火災によるCO中毒症例を経験しているという。治療は難しいものではないが、重要なのはCO中毒を「疑う」ことだ。

 頭痛や吐き気・嘔吐など、冬に多いインフルエンザや胃腸炎のような症状で受診することもあり、疑わなければ診断できない。そのため、Vol.2とは別の意味で「まだ検査では陽性にならないけれど、インフルエンザかもしれないね」と安易に帰宅させてはいけない。COの発生源が自宅であれば、帰宅後に再度曝露させることになるからだ。「高熱がないのにインフルエンザ?」「下痢がないのに胃腸炎?」と典型的な症状がそろわない場合や、複数人で受診してきた場合などには、原因を絞る問診や発症前後のエピソードを聞き出すことに努める。さらに血液検査も検討することを後藤氏は心掛けている。

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