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カデット特集●2013冬・論文コレクション

2013冬・論文コレクション Vol.4【総合診療】
多く使われる薬の妥当性は?
医療コストも論文で検証を

南郷栄秀氏 Eishu Nango
東京北社会保険病院(東京都北区)総合診療科医長●1998年東京医科歯科大卒。虎の門病院にて研修後、虎の門病院分院内科総合診療科などを経て、2007年より現職。正しいEBMの普及を目的としたThe SPELLホームページを運営し、全国で講演会や勉強会を開催している。

 論文を正しく読めなければ、患者に間違った医療を提供することになる。今年、大きな話題となったアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)のバルサルタン(商品名ディオバン)に関する臨床研究での不正問題。これに関して「なぜACE阻害薬という選択肢がもっとクローズアップされないのか疑問だ」と話すのは東京北社会保険病院総合診療科医長の南郷栄秀氏だ。

 スキャンダルが起こったからというわけでもないが、高血圧の治療薬を選ぶに当たって、南郷氏が読んでおくべきと示した論文が 論文1論文2だ。論文1では、これまで発表された研究結果をまとめ、ARBの治療効果はACE阻害薬と比べて同等か、若干劣ると示した。

 ACE阻害薬に比べ、ARBの薬価は2~3倍。にもかかわらず、日本でARBが売れている背景には、「認容性がかなり前面に押し出されているため」と南郷氏は語る。だが、認容性で問題にされるACE阻害薬の副作用として現れる咳症状は男性で1割、女性でも3割程度。症状は可逆性で、服用を止めればなくなる。これらを考慮すれば「まずACE阻害薬を選択し、咳に患者が耐えられない場合に限り、ARBに変更すべき」と語る。

 さらに、ACE阻害薬の副作用である咳症状を逆に利用すれば、肺炎を予防できることも、システマティックレビューの結果から示された論文2。「これらの結果をトータルで考えるとARBよりもACE阻害薬のほうが優れていることに疑いの余地はない」と南郷氏。

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