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カデット特集●2012冬・論文コレクション

2012冬・論文コレクション Vol.4
これからの医療安全に必要なコミュニケーション術とは?
医療者間のコミュニケーション向上に役立つ論文

尾藤誠司
Seiji Bito
東京医療センター臨床研修科医長●1990年岐阜大卒。国立長崎中央病院、国立東京第二病院(現・東京医療センター)、国立佐渡療養所、UCLAを経て、2008年より現職。
photo:Yoshito Shiba

 「これまでは医師患者関係を良好に構築することが、『医療安全』の第1歩だった。しかし、その前にまず医療者間のコミュニケーション不足を解消するのが先決だという考え方が最近広がっている」

 こう話すのは、医療コミュニケーション問題を研究する、東京医療センター臨床研修科医長の尾藤誠司氏。医師と看護師間、上級医と研修医など、医療専門職間のコミュニケーションが機能していない現状があるのなら、まずはそれを改善したほうが何かといいのでは?ということで、医療者間コミュニケーションがテーマの論文を紹介してもらった。

 コミュニケーションやチームワークの形成に必要なスキルは『ノンテクニカルスキル』と称される。そのノンテクニカルスキルの習得が果たして患者利益につながるのかどうか、過去発表された論文をシステムレビューしたのが論文1(各論文は、次ページの「尾藤先生のおすすめ論文リスト」参照)だ。それによると、現状では医療者によるノンテクニカルスキルの習得が患者の有害事象の減少につながったというアウトカムはほとんどなかった。「一般論として個人のポテンシャルが上がったとは言えそうだが、ノンテクニカルスキルを教えるプログラムはまだ確立しておらず、医療専門職にどんな教育的介入をしたら良いかを模索している様子が論文から窺える」と尾藤氏。

 現状では明確なエビデンスがあるとは言い難いノンテクニカルスキルだが、その中で「SBAR」(Situation、Background、Assessment、Recommendation)が注目を集めている。SBARとは「ホウレンソウ」(報告、連絡、相談)をきちんと行うためのテクニックで、実践は簡単。人にものを伝える際にSBARの4つの順番で話すだけだ。その効果を示した論文が今年発表された(論文2)。

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