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カデット特集●私にチカラをくれる とっておきの言葉

私にチカラをくれる とっておきの言葉 Vol.6
「沖縄に戻りたい…」敗北しかけた私を踏みとどまらせた言葉
寺澤秀一氏(福井大学医学部地域医療推進講座教授)

 「望みあらば、道あり」─。沖縄県立中部病院から福井県立病院に移り、北米型ERの立ち上げに奮闘していた私を支えた言葉です。中部病院での研修時代からお世話になった、真栄城優夫先生が口癖のようにおっしゃっていた言葉でもあります。

 私は卒後7年目に、県立福井病院に新設された救命救急センターに赴任しました。たった一人の救急医として、自身がモデルになり、仲間や後進を獲得しようと考えていました。

 4~5年経ち、多くの患者がやってくるようになりましたが、救命救急センターの担当医は私一人のまま。「この働き方では、仲間も後進も作れない」。敗北感に襲われ、沖縄に戻りたくなりました。そんなときに浮かんだのが、この言葉です。

 真栄城先生は、中部病院で米国式の卒後臨床研修事業を立ち上げ、40年以上かけて発展させた方です。それを思うと、たった5年では、帰るに帰れませんでした。

 この言葉には背景があります。中部病院の出身者の多くは米国に臨床留学しますが、帰国後、なかなか日本の病院に馴染めず、数年ごとに転職を繰り返す人が多かったのです。真栄城先生もこれを気にされ、「2~3年で戻ってもポジションは用意しない。でも10年頑張ってダメなら、そこは本当にダメということだから、用意する」と話していました。

 数年で挫折してしまうのは、自己研さんしか考えていないから。仲間や組織、さらには地域の医療をも変えてやるという気概を持てということです。福井に踏みとどまった私に、初めて「仲間」ができたのは、赴任から11年目のことでした。(談)

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