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大学3、4年生が読むべき生理学と病態生理学の名著
呼吸生理のバイブル

2018/06/13
田中和豊

 前回は「輸液―電解質-酸塩基平衡」トライアングルの最後として血液ガス生理のバイブルを紹介した。この本では、血液における酸塩基平衡とガス交換の理論の歴史を解説しているが、肺でのガス交換についての詳細な記載はなかった。そこで血液中でのガス交換のバイブルに続いて、今回は肺と血液のガス交換である外呼吸、いわゆる呼吸生理のバイブルを紹介しようと思い立った。
 
 呼吸生理のバイブルと言えば、まず真っ先に思い浮かぶのがJOHN B. WEST, ANDREW M. LUKS 著 桑平一郎 訳 『ウエスト 呼吸生理学入門 正常肺編 第2版』メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2017(分類:古典・原典、推奨度評価:★★★、推奨時期:医学生~)だ。

 この世界的な名著を初めて筆者が知ったのは大学1年目のときであった。臨床医学入門コースのようなセミナーがあって、当時の筆者は呼吸器内科を専攻することも視野に入れていたので、呼吸器内科のセミナーを取った。そのセミナーで何か呼吸器内科関係の本を読んで選んだ課題について発表することになった。その時同じセミナーを選択した同級生が選んだのが本書である。

 大学に入学したばかりのピカピカの1年生が、何とこの世界的名著を持ってきて読んで当時の呼吸器内科の教授の前で発表したのであった! それを聞いた教授は驚かれて、どうしてこの本を知っているのかと尋ねたところ、実はその同級生の兄が呼吸器内科医で(しかもその教授の医局員)、呼吸器内科についてならばこの本を読めと兄から勧められていたのであった。

 そのとき初めて知ったのがこのウエストの呼吸生理の書籍である。上級生になったら絶対に読まなければと心に留めていたものの、今まで読む機会はないままでいた。前回血液ガス生理のバイブルを読んだのであるから、ここで大学1年のときに知ってそのまま読まないままでいる呼吸生理のバイブルを読まない訳にはいかなくなった。そこで書店に駆け込んでウエストの呼吸生理に関する書籍3冊を購入して読んでみた。

著者プロフィール

田中和豊(福岡県済生会福岡総合病院 総合診療部主任部長・臨床教育部部長)●たなか かずとよ氏。慶應大理工学部を卒業後、医師を目指す。94年筑波大医学専門学群卒業。横須賀米海軍病院、聖路加国際病院、アルバートアインシュタイン医科大、ベス・イスラエル病院などを経て、2012年より現職。

連載の紹介

医学書ソムリエ
良い医学書は良い海図のように、臨床の大海原の航海を確実に楽にしてくれるもの。しかし、数多く出版される医学書のどれを読んだらよいのでしょうか。本連載では、筆者の田中和豊氏が、忙しいあなたの代わりに様々な医学書に目を通し、「これは良い」と思ったものだけを紹介します。

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