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秘伝の種明かしをしてくれるDVD
皮膚診療の良書2 分析的診療方法(皮膚所見の診かた)

2014/06/10
田中和豊

 前回は皮膚診療―分析的診療方法(皮膚所見のとり方)の良書を1冊紹介した。今回は、皮膚診療に関連して皮膚所見のとり方から一歩進めて皮膚所見の診かたについての良書を紹介する。

 前回に皮膚診療の第一歩は皮膚病変を観察してその皮膚病変を言語で表現することであると述べた。そして、その皮膚病変を観察して言語で表現するには一定のトレーニングが必要であることも述べた。しかし、このような観察力だけでは似て非なる多種多様の皮膚疾患に対応することは難しい。観察を生かして診断に至るまでには、そこに診断に至るまでの推論が必要である。そして、この推論の方法が「皮膚所見の診かた」だと筆者は考える。

 観察された皮膚病変の様々な所見は、犯罪捜査に例えれば一つ一つの物的証拠である。この「点」である一つ一つの物的証拠だけでは「犯人」は簡単に特定できない。「点」と「点」を結びつけて「線」をつくり一見脈絡のない「点」の間に「線」の関係を見出す「推論」が必要になる。そして、これらの証拠をどう結び付けるかによって「容疑者」は異なってくる。「推論」が正しければ容易に「真犯人」が特定されることもあるが、間違えると無実の人間を「犯人」に仕立て上げ、「冤罪」を作り出してしまうことにもなりかねない。この「推論」にも一定の方法があり、それを身に着けるためには一定のトレーニングが必要になる。

 犯罪捜査でいくつかの証拠を結びつけて犯人を推理するように、皮膚疾患では観察された病変の一つ一つの所見を合理的に結びつけて診断に至る。ところが、この「皮膚所見の診かた」は非常に重要なのであるが、残念ながら具体的な記載は書籍でも目にする機会がほとんどなく、実際の医療現場でも教わることはまれである。

 この手品で言えば「種明かし」とも言える秘伝の皮膚科診療方法を惜しげもなく語っているのが、平本 力 著:平本式 皮膚科虎の巻 上・下巻 CareNet DVD, 2003(分類:参考書、評価:★★★、推奨時期:医学生~)である。

著者プロフィール

田中和豊(福岡県済生会福岡総合病院 総合診療部主任部長・臨床教育部部長)●たなか かずとよ氏。慶應大理工学部を卒業後、医師を目指す。94年筑波大医学専門学群卒業。横須賀米海軍病院、聖路加国際病院、アルバートアインシュタイン医科大、ベス・イスラエル病院などを経て、2012年より現職。

連載の紹介

医学書ソムリエ
良い医学書は良い海図のように、臨床の大海原の航海を確実に楽にしてくれるもの。しかし、数多く出版される医学書のどれを読んだらよいのでしょうか。本連載では、筆者の田中和豊氏が、忙しいあなたの代わりに様々な医学書に目を通し、「これは良い」と思ったものだけを紹介します。

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