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内科と外科の診察に共通点を発見
外科的筋骨格系診察(整形外科疾患診察)の良書

2014/02/13
田中和豊

 前回は内科的筋骨格系診察(リウマチ疾患診察)についての良書を紹介した。今回は、外科的筋骨格系診察(整形外科疾患診察)についての良書を紹介する。

 筆者は、残念ながらリウマチ疾患診察と整形外科疾患診察のいずれについても系統的に学習したり教育を受ける機会がなかった。リウマチ疾患診察については、米国で内科レジデント教育を受けた時に1カ月だけリウマチ内科を選択で採って指導医とともに診察した経験があるだけだ。整形外科疾患診察については、卒後1年目に横須賀米海軍病院でのインターンとして整形外科を回ったときに2週間指導医についてもらっただけである。

 大学病院での学生実習や研修病院での整形外科ローテーションでは、診察は「やっとけ!」とだけ言われることが多かった。その当時の指導医は、決して一緒に計測して手とり足とり指導してはくれなかった。「〇〇さん(患者さん)の関節の可動域測っといて!」と言われて、自分一人でベッドサイドに赴いて患者さんの関節可動域を計測していたのである。

 あるとき筆者は指導医からある患者さんの関節可動域を測定するように言われた。そして、計測結果である股関節の外転の関節可動域を0~60度とカルテに記載した。ところが、そのカルテ記載を後から読んだ指導医から「股関節の外転は45度までだ。骨盤を回転させて測っただろ!」と言われた。股関節の関節可動域の測定は骨盤を固定して行わなければならないのに、それを知らなかった筆者は骨盤を回転させて股関節を外転できるところまで測定してしまったのである。これは整形外科医にとっては当たり前の知識かもしれないが、2カ月ごとにいろいろな科をローテーションしている途中で、将来整形外科を専攻するつもりのない研修医にとっては初めて聞く知識であった。

 股関節の正しい測定法を知らなかったのだから、このとき筆者が計測した患者さんの関節可動域は、他の関節の値もいい加減に決まっている。そう考えれば指導医は、患者さんの関節可動域測定という大切な診察を、やり方も知らない研修医に任せておいてよいはずはない。かといって、指導医も手術や外来で超多忙であるので、自分で全ての受け持ち患者さんの全関節可動域を測定する時間はない。それならば、研修医と一緒に関節可動域を測定して正しい方法を指導しておけば、研修医教育にもなるし結局は自分の時間と労力も節約にもつながる。そう考えられなかったのであろうか?誠に残念である。

 リウマチ内科医にはリウマチ内科医の流儀があるように、整形外科医には整形外科医の流儀がある。その流儀もやはり書籍よりも映像のほうが分かりやすい。内科的筋骨格系診察(リウマチ疾患診察)と同様に、外科的筋骨格系診察(整形外科疾患診察)の教科書として最も推薦するのが、仲田和正著 『骨太!Dr.仲田のダイナミック整形外科 上巻・下巻』 CareNet DVD, 2004(分類:教科書、評価:★★★、推奨時期:医学生~)である。

著者プロフィール

田中和豊(福岡県済生会福岡総合病院 総合診療部主任部長・臨床教育部部長)●たなか かずとよ氏。慶應大理工学部を卒業後、医師を目指す。94年筑波大医学専門学群卒業。横須賀米海軍病院、聖路加国際病院、アルバートアインシュタイン医科大、ベス・イスラエル病院などを経て、2012年より現職。

連載の紹介

医学書ソムリエ
良い医学書は良い海図のように、臨床の大海原の航海を確実に楽にしてくれるもの。しかし、数多く出版される医学書のどれを読んだらよいのでしょうか。本連載では、筆者の田中和豊氏が、忙しいあなたの代わりに様々な医学書に目を通し、「これは良い」と思ったものだけを紹介します。

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