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Dr.西野の「良医となるための道標」

内視鏡検査におけるCustomer Loyalty

2014/06/09
西野徳之(総合南東北病院消化器センター長)

 うちの病院にCS課っていうのがあるよね。何をしている部署かわかるかい?

 「……衛星放送じゃないですよね」

 当たり前だろう!

 『カスタマー・サティスファクション(CS:Customer satisfaction)』、訳すと顧客満足。

 よく東京ディズニーランドが引き合いに出される。彼らは常に仮想世界に浸るような楽しみを提供してくれる。来場者(Guests)は、時間や年齢を忘れて思う存分楽しめる。ビジネスの世界では、このCSがサービス精神の基本なんだ。

 でも、これを上回る概念がある。それが『カスタマー・ロイヤルティ(CLCustomer loyalty)』。訳すと顧客忠誠心。「遊びに行くならディズニーランドじゃなきゃいやだ」。「次も、その次もやっぱりディズニーランド」と思わせるのがCL。

 これを医療の現場にあてはめてごらん。さしずめ、『ペイシェント・サティスファクション(Patient satisfaction)』『ペイシェント・ロイヤルティ(Patient loyalty)』かな。

 患者が僕の診察や治療に満足してくれる。診察を待つために二時間でも三時間でも待ってくれる。僕が休みなら、「また今度出直します」。そう言ってもらえたら、うれしいだろう? そう言ってもらいたいだろう?

 「そうっすねぇ」

 その患者の信頼に応えるために、僕らも誠意を尽くして患者に接してゆくんだ。人と人とのコミュニケーションは誠意のキャッチボールなんだと思う。こちらの誠意を彼らが理解し、共感し合い、僕への信頼(Loyalty)を示してくれる。でも、もちろん、その行き着く先が天狗になってしまって、『殿様商売』になっちゃあいけない。そうなった時には、患者はいつでも僕らを見限る権利も持っている。お互いがインスパイア(Inspire:鼓舞)し合いながら、信頼を持ち続けられるといいよね。

 このような医師患者関係(Compliance)というのも、細やかな配慮や気遣いができる日本人ならではなのかもしれないね。

著者プロフィール

西野徳之(総合南東北病院〔福島県郡山市〕消化器センター長)●にしの・のりゆき氏。1987年自治医科大学卒。旭川医科大学第三内科、利尻島国保中央病院院長、市立根室病院内科医長などを経て2000年10月より現職。

連載の紹介

Dr.西野の「良医となるための道標」
今の臨床研修カリキュラムに足りないもの。それは医師としての心構えや倫理観、患者との接し方を学ぶことではないか? 研修医指導に情熱を傾けてきた著者が、「医師としてのあるべき姿」を熱く語りかける、『良医となるための100の道標』(日経BP)。その一部をご紹介します。
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