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新専門医制度、本当に来年から始まるの?

2016/05/17

 2017年4月から始まる予定の新専門医制度ですが、本当に開始できるのか、不安が広がっています。実は私も、4月に東京で行われた日本内科学会の新内科専門医制度説明会に参加してきました。私自身、これまでも何度か新専門医制度を理解しようと努力してみたものの、どこがどう変わるのか、具体的なイメージがつかめずにいました。そこで、内科にカテゴリーを絞り、各論から理解しようと思って参加してきました。

 説明会の詳細は、日経メディカルOnlineで既に報じられているので、そちらをご覧ください。

新専門医制度、「7月には専攻医登録を開始」
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 説明会とその後の質疑応答を見ての感想は「コレ、本当に来年度から実施できるのかしら」というものでした。

遅れる準備、伝わらない情報…
 新専門医制度では、専攻科や研修先の登録など、様々な場面に新たなオンラインシステムが導入される予定で、内科に関しては、専攻医が研修状況を登録し、指導医が確認・評価するシステム「研修手帳」などが紹介されました。しかし、そのほとんど全てが「今作っている最中なのですが…」という注釈付き。まったく準備が整っていない印象を受けました。

 また、新専門医制度の目玉の1つが、研修基幹施設を中心とし、いくつかの医療機関と連携して専門研修を行うというもの。この形を堅持する以上、専攻医の身分保障は複数の医療機関間で調整が必要な項目となります。質疑応答では、この連携している医療機関に行った際の身分保障に関する質問が複数挙がりましたが、「研修施設群の間で話し合ってください」という回答に終始しました。

 さらに、日経メディカルの記事でも指摘されているように、内科学会の場合は研修手帳を指導医が確認したり、各種調整で全ての責任がプログラム責任者に集中したりという点で、上級医師の負担が大きくなるシステムとなっています。すでにプログラム責任者からは不満が聞こえ始めていますし、単に仕事量が増加するシステムでは、指導医のなり手がいなくなる事態も懸念されます。

 研修施設サイドからは、7月までにプログラムが認証されるというスケジュールでは遅すぎる、という意見も出ました。この指摘はもっともでしょう。研修施設は、初期研修医に広報し、研修プログラムの詳細について説明する必要があります。ある種のインフォームドコンセントを取るようなものですが、7月以降となると十分な時間を掛けられるとは思えません。

 学会の説明会で発表していた初期研修医が指摘したように、専攻医となる初期研修医自身に十分な情報が行き渡っていないことも問題です。10年以上前に初期臨床研修制度が変わったときは、大学の教務課などを通じて医学部6年生や5年生に情報を周知することが可能でした。大学は在籍中の学生だけでなく、卒業した国家試験浪人生にも連絡できますから、情報の伝達という点では混乱が少なかったと考えられます。

 しかし、病院勤務をこなす初期研修医が一堂に会することはほとんど不可能であり、情報の不均衡が必ず生じます。各初期研修医の自己責任とされるのかもしれませんが、当初の予定が後ろ倒しになっていたり、必要な情報をどこで得られるのかも分からない現状を見ると、その一言で終わりにされてしまうのなら、どうも釈然としません。

著者プロフィール

医師のキャリアパスを考える医学生の会●医学生が自らのキャリアについて学び、考え、発信していくことを目的として発足したネットワーク。20人ほどのスタッフが、見学ツアーなどのイベント企画や、MLによる情報発信を行っている。

連載の紹介

心に刺さったニュース
「医師のキャリアパスを考える医学生の会」の運営スタッフによるリレーコラム。Uovo一人ひとりが、「心に刺さった」記事をネットからひろいあげ、なぜ刺さったのか、どう感じたのかを語ります。文末の()内は筆者のペンネームです。

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