先日、横浜市立大学で医学生のカンニングが摘発され、6人が停学処分、11人が戒告処分になったというニュースを見ました。医学生らは、OSCE(客観的臨床能力試験)が実施される前夜に試験会場に侵入。既に壁に貼られていた問題を携帯電話のカメラで撮影してから書き起こし、受験する4年生全員に予想問題としてメール送信したそうです。この事件、突っ込みどころが多すぎてびっくりしてしまいました。
(1)なんでOSCEで…
今回の件で医学生がカンニングしたOSCEは、大学によって基準が異なるとは思いますが、そもそも不合格が学年で1人出るかどうかが相場ではないでしょうか(参考)。
カンニングを肯定するわけではありませんが、各大学とも、定期試験、小テスト等々含めれば、カンニングを完全に防ぐことは難しいと感じます。昔ながらの階段教室は、意図しなくても「見えてしまう」構造ですし、必ずしも良問とばかりは言えない問題につい出来心が…なんて話も。それでも、カンニングがバレるリスクとカンニングで受けるベネフィットを天秤に掛けたら、準備不足であってもそのまま受けて再試験を受けたほうがマシなのだろうと思います。
また、以前先生が「臨床実習前のOSCEは知識や技術ではなく、実習に対する心構えを見ている」とおっしゃっていたのを聞いたことがあります。これが本当だとすると、「心構えを見るためのOSCEでカンニングする意味って…?」という疑問がより大きくなります。
(2)不正に後輩を使わないで
今回の事件で実際に夜の校内に侵入したのは3年生2人ということでした。これは先輩である4年生が依頼したのだそうで、計画性を感じます。どんな先輩・後輩関係だったにせよ、後輩に片棒を担がせるのはいかがなものかと思います。断れない関係だったのか、馴れ合いになっていたのか。どちらにせよ、適切な関係性が作れていなかったことは間違いないと思います。
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著者プロフィール
医師のキャリアパスを考える医学生の会●医学生が自らのキャリアについて学び、考え、発信していくことを目的として発足したネットワーク。20人ほどのスタッフが、見学ツアーなどのイベント企画や、MLによる情報発信を行っている。

連載の紹介
心に刺さったニュース
「医師のキャリアパスを考える医学生の会」の運営スタッフによるリレーコラム。Uovo一人ひとりが、「心に刺さった」記事をネットからひろいあげ、なぜ刺さったのか、どう感じたのかを語ります。文末の()内は筆者のペンネームです。
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