長野県の南部、中央アルプスと南アルプスを望める駒ヶ根市に、行政組合が運営する昭和伊南総合病院がある。2018年秋、その地元住民や同院に朗報が届いた。20年来勤務する内科診療部長で消化器病センター長の堀内朗(ほりうち・あきら)医師が、この年のイグ・ノーベル賞医学教育賞を受賞したのだ。受賞対象になった研究は、2006年に米国内視鏡学会誌で発表した「座位でおこなう大腸内視鏡検査―自ら試して分かった教訓」。座った姿勢で大腸内視鏡検査を受けると苦痛が少ないことを、身をもって実証したことが評価された。“裏ノーベル賞”ともいわれるイグ・ノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に贈られる。ユーモアあふれる授賞式から1か月半後、堀内氏を同院に訪ね、日々の取り組みを聞くうちに、受賞の意味合いがより鮮明になってきた。

1960年生まれ。信州大学医学部医学科卒業。同大薬理学教室に助手として勤務後、90年より2年間米国バージニア大学医学部病理学教室に留学。信州大学第二内科、諏訪赤十字病院内科などを経て、99年4月より昭和伊南総合病院に勤務し、現在に至る。医学博士。
所属・役職は取材当時(2018年11月)のものです。