
1963年生まれ。東北大学医学部卒業。公立気仙沼総合病院(現・気仙沼市立病院)研修医を経て、92年東北大学第二外科(現・先進外科)入局。2002年石巻赤十字病院第一外科部長。07年に同院医療社会事業部長となり災害医療にも携わり始める。12年10月より現職。宮城県災害医療コーディネーター。厚生労働省が養成を進める「災害時健康危機管理支援チーム」(DHEAT)の研究班メンバー。医学博士。(所属・役職は取材当時(2016年7月)のものです。)
東日本大震災でもっとも甚大な被害を受けた石巻医療圏(石巻市、女川町、東松島市)。発災時、圏内で唯一の災害拠点病院だった石巻赤十字病院で、外科業務のかたわら医療社会事業部長をしていた石井正(いしい・ただし)氏は、1カ月前に宮城県災害医療コーディネーターを委嘱されたばかりだった。
その石井氏が、震災発生直後から7か月にわたり全国から駆けつけた3633の医療救護チーム、約1万5000人を、「石巻圏合同救護チーム」としてひとつに組織し、チームの統括役を担ったこと。あわせて、およそ5万人が身を寄せる300か所以上ある石巻医療圏の避難所をローラー作戦で一気に調査し、空前といわれる避難所アセスメントを行って医療ニーズなどの情報を入手し続けたこと。これらの活動は、その後、「最大被災地を医療崩壊から救った」と多くの人の知るところとなり、各都道府県に配置されつつある災害医療コーディネーターのモデルと評価された。
今、石井氏は、5年前を振り返り、何を思うのか。どんな仕事に取り組んでいるのか。勤務先の東北大学病院を訪ねた。