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「制度」を本能的に窮屈に感じる35%の人の特徴とは?

2018/06/20
鈴木 裕介(ハイズ)

 お久しぶりです。この間の瞬先生の「大学院、嫌ならやめちまえよ」コラム、痛快でしたね(笑)

 僕は、もともと新卒で入局したのですが、医局と水が合わず、何の資格も取らないまま2年で辞め、そこから流れ流れて今のキャリアについています。運が良いことに、人に恵まれた結果、それなりに明るく楽しく仕事ができています。個人的な感想としては、今ちまたをにぎわせている諸制度に無理して乗っからなくても、まあ生きていけるだろうし、むしろ「制度」に乗ることで生じる不自由や制約の方が、僕にとってはデメリットだったなーと思っています。

 そんな中で、若いドクターや学生たちの「専門医を取るべきか」「医局に残るべきか」「大学院に行くべきか」という悩みに触れる機会はますます増えています。

 そんな悩みを聞きながらも、上記のように楽観的なキャリアを積み重ねてきた僕は、「医師免許さえあればどのみち生きていけるのに、制度に乗るか否かでなんでそこまで悩むんだろう」と心の底ではよく分かっていませんでした。基本、「嫌ならやめちまえよ」というスタンスだったのですが、最近は少し考えを改めるようになりました。

 いろいろな人と話す中で気づいたのは、「枠」に対する考え方の違いです。

「枠」があったほうが、人は安心できる
 制度、決まり、ルール。これらは人の行動を制約する「枠」です。「枠」の制約があるからこそ、その中で人は自由に動ける。だから、人はこれまで自分たちの行動を規定する枠をいろいろと考えて生きてきたのです。

 例えば、村の周りを囲む柵があったとします。これは世界をウチとソトに分けるための「枠」です。「この枠の内側は私たちの村なんだ」と思えて、安心する。その安心があるからこそ、その中で人は自由に動けるのです。実際、枠のないところで「自由に動いていいよ」と言われると、制約がなさすぎてどう動けばいいか分からず、困ってしまう人が多いんです。だから「枠」をつくるというのは非常に人間的な営みであり、便利なツールなのです。

 注意が必要なのは、「枠」があると窮屈だと本能的に感じる人がいるということです。日本人だと、約3割はそういうタイプだと言われています。

「攻めの因子」と「守りの因子」
 このタイプを、組織心理学者の小林惠智先生が提唱したFive Factors and Stress理論(FFS)で説明します。FFS理論によれば、人間には拡散性と保全性という拮抗した特性があり、それがこうした「枠」に対する考え方に影響を与えます。これらの特性は情動を司る基底核が主導していて、遺伝的要因が強いそう。日本では、拡散性が高い人と保全性が高い人の割合は35対65といわれています。

著者プロフィール

鈴木裕介(ハイズ社)●すずき ゆうすけ氏。2008年高知大卒。一般内科診療やへき地医療に携わる傍ら、高知県庁内の地域医療支援機構にて広報や医師リクルート戦略、 医療者のメンタルヘルス支援などに従事。16年に国家資格キャリアコンサルティング技能士2級を取得。15年より現職。

連載の紹介

鈴木裕介の「キャリア迷子」に捧げる処方箋
昔に比べて価値観やキャリアが多様化し、「働き方」に悩む機会が増えてきました。医師でありながらこれまで1000件以上のキャリア相談を受けてきた鈴木裕介氏が、進むべき道を見失った「キャリア迷子」たちに送る「愛の処方箋」。様々なキャリア理論と実践に基づき、優しくレクチャーします。

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