Cadetto.jpのロゴ画像

患者の家族と医師が分かり合えないとき

2021/04/07
織田うさこ

 その患者さんのおうちに初めて往診した日。

 既に、彼女の下腿の半分程度は壊死していました。足趾は黒化して乾燥し、ミイラのようになっていました。寝たきりの高齢の方で、意思疎通はできません。娘さんが介護をしていました。

「少し前から足が黒くなり始めて。なんとか治してあげたいんです」
と娘さん。

 ASO(閉塞性動脈硬化症)による壊疽が進んでいて、治癒は望めそうにもないことは、一目見て分かりました。ですが、初対面でいきなりそんなふうに告げるのもためらわれ、私は黙ってしまいました。

 もともとは大きな総合病院で診てもらっていたらしいのですが、脳梗塞後遺症など内科的な疾患もあり、あとは在宅で、内科と皮膚科の併診を……という流れになったようです。

 紹介状には、血行再建は適応外、アンプタ(患肢切断)以外には治癒が見込めないだろうが娘さんが拒否、といったことが書かれていました。

著者プロフィール

織田うさこ(皮膚科医・内科医)●市中病院での初期研修修了後、皮膚科医として勤務していたが、必要に迫られて、内科も勉強しながら従事している。家庭医として地域医療に貢献。何事にも必死になりすぎるタイプ。

連載の紹介

うさコメント!
2007年、小西真奈美さん主演で放映されたドラマ「きらきら研修医」のモデルとなった織田うさこ氏が、身の回りの医師について、患者との関わりについて、医療現場で起こるさまざまな出来事について、独自の視点で語ります。

この連載のバックナンバー

この記事を読んでいる人におすすめ