皮膚科の往診をしていると、いろいろな患者さんに出会います。先日は、胃瘻の周囲がただれてきたとのことで、ご自宅に診に行きました。
90代後半、寝たきりのおばあさんです。
「胃瘻の周りがしょっちゅう、赤くなるんです。皮がむけて、傷になって……」
介護している息子さんが言いました。
まずは診せてください、と、おばあさんの寝間着をめくりました。
「?」
胃瘻が無い。
きれいなおなかです。
すると息子さんが、
「ここです」
と、おなかのシワめがけてズボッと手を突っ込みました。
息子さんの右手は、驚くほど深く入り、左手で周囲の皮膚を何度もかき分けると、はるか奥に胃瘻が見えました。
完全に、腹部の肉の中に埋もれています。
新規に会員登録する
医師または医学生の方は、会員登録すると記事全文がお読みいただけるようになるほか、ポイントプログラムにもご参加いただけます。
著者プロフィール
織田うさこ(皮膚科医・内科医)●市中病院での初期研修修了後、皮膚科医として勤務していたが、必要に迫られて、内科も勉強しながら従事している。家庭医として地域医療に貢献。何事にも必死になりすぎるタイプ。

連載の紹介
うさコメント!
2007年、小西真奈美さん主演で放映されたドラマ「きらきら研修医」のモデルとなった織田うさこ氏が、身の回りの医師について、患者との関わりについて、医療現場で起こるさまざまな出来事について、独自の視点で語ります。
この連載のバックナンバー
-
2022/05/06
医師・医学生限定コンテンツ -
2022/04/08
医師限定コンテンツ -
2022/03/07
医師・医学生限定コンテンツ -
2022/02/09
医師・医学生限定コンテンツ -
2022/01/10
医師・医学生限定コンテンツ