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胸焼けするほど濃密な3日間

2012/11/19

 医学部5年生の頃、初期臨床研修先を決めるため、ある総合病院に実習に行きました。実習期間は3日間。大分出身のAちゃんと一緒に、2年目研修医のC先生に指導してもらうことになりました。

 救急医志望のC先生は、ナート(縫合)や挿管などの手技がとても上手でした。大柄で、手も大きいのに、細かい作業も器用にこなします。あまりにもテキパキとしたその仕事振りを見ていると、自分が2年目研修医になる頃に、果たしてこんなに知識や技術が身についているのだろうかと、逆に不安になるほどでした。さらにC先生は忙しく動きながらも、診察や検査の合間に適宜説明もしてくれるなど、きちんと私たちの面倒をみてくれました。私は付いていくだけで精一杯でしたが、頭が良く、アグレッシブなAちゃんは、時折鋭い質問をしつつ、手際よくサポートしていました。

 実習1日目は朝8時に始まり、終わったのは夜11時。1日中頭をフル回転させ続け、ヘトヘトになって帰り支度をしていると、「おい、今から本番だぞ!」とC先生の声。病院のスタッフと私たち実習生で近所の居酒屋に行きました。食べ物もお酒も、メニューの端から端まで豪快にオーダーし始めたC先生は、疲れ知らずのハイテンション。ジョッキを何杯もあけ、どんどん上機嫌になっていきました。隣に座っていたAちゃんもチューハイやら日本酒やらをがぶ飲み。その飲みっぷりが気に入ったらしく、C先生はAちゃんにどんどんお酒を勧めました。宴会は明け方3時過ぎまで続き、その頃には2人はすっかり意気投合して仲良くなっていました。私は眠りそうになりながらも、至近距離で飲んでいる2人が妙に気になり…。結局その日は、病院の当直室にAちゃんと私の2人で泊まりました。

 翌日も、朝8時のカンファレンスから実習が始まりました。昼間は病棟回診や処置、検査データのチェック、検査の付き添いなど休む暇もなく働き続けたうえ、夜はC先生の当直で、7件ほどの救急搬送があり、これまた目の回るような慌ただしさ。休憩も睡眠も取れませんでした。でも、色々な疾患が見られ、新しい知識が入ってくる楽しさに興奮し、Aちゃんと一緒に、眠気も忘れ、必死でC先生の補助をしながら学びました。

 そんな睡眠不足のまま迎えた3日目の最終日。必死で動き回る中、Aちゃんがポツリと、衝撃的なことを口にしました。

著者プロフィール

織田うさこ(皮膚科医・内科医)●市中病院での初期研修修了後、皮膚科医として勤務していたが、必要に迫られて、内科も勉強しながら従事している。家庭医として地域医療に貢献。何事にも必死になりすぎるタイプ。

連載の紹介

うさコメント!
2007年、小西真奈美さん主演で放映されたドラマ「きらきら研修医」のモデルとなった織田うさこ氏が、身の回りの医師について、患者との関わりについて、医療現場で起こるさまざまな出来事について、独自の視点で語ります。

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