時々食事に行く友人で、年齢も近い女医が2人います。2人ともずっと結婚したがっていましたが、これはという相手がなかなか見つかりませんでした。お見合いも合コンも積極的に参加しているけれど、相手を好きになれなかったり、逆に、気に入った相手には気に入られなかったりで、うまくいかないとよくこぼしていました。
2人とも美人で、細くてスタイルもいいし、上品で家柄も良く、それでいてけっこう気さくで明るい。なぜ結婚できないのか不思議です。「家柄のいいお嬢様だからきっと、相手に望む条件が厳しいに違いない。家柄とか地位とか、外見とか性格とか、たくさんのハードルをクリアできる男性はなかなかいないんだろうなあ・・・」などと、勝手に想像していました。
ところが最近になって、そんな私の想像は見事に外れました。
1人は、何と10歳も年下の学生さんと結婚。ごく普通のサラリーマン家庭の次男だそうで、会ってみても特にイケメンというわけでもなく、温厚そうな普通の男性です。さらに、学部は文学部で今は就職活動中(!)の身。「相手に望む厳しい条件」もヘッタクレもありません。
彼女が過去、お見合いで断ってきた男性たちとこの学生さんとの差は一体・・・?と思い、彼女に結婚の決め手を尋ねてみると、「頼りないけど優しい人で、私が面倒みてあげたいって思ったの。初対面でビビビと来たし」との返事。まさかのビビビ婚!!
「この先、一生一緒にいましょうね」と約束する相手を、「ビビビ」で決めちゃって大丈夫なのか…と思っていたら、その心配は見事に当たり、半年も経たないうちに彼女は離婚してしまいました。理由は「私の収入ばかりアテにされてイヤになったから」。
「イヤイヤ、アンタが面倒見てあげたいって言ってたんでしょ?!」。ものすごくツッコミたくなりました。
そしてもう1人も、知り合って3日目にはもう結婚の約束、という急展開。相手は合コンで出会った不動産会社の営業マン。初対面から話がとても盛り上がり、合コンを抜け出して終電ギリギリまで夢中で話し込んだとか。翌日もデートして終電まで一緒に過ごし、その翌日もデートして、「一緒にいるのがあまりにも楽しいから」と、即日一緒に暮らし始め、1週間後には籍も入れちゃってました。
あまりにスピーディーすぎる展開に、私を含め周囲の人間はあぜんとするばかりでした。それでも、早くも結婚2カ月目で彼女が離婚したときにはさすがに、何と声をかけていいのか分かりませんでした。急激に盛り上がって結婚したものの、付き合いが浅い分、相手について知らないことも多く、一緒に住み始めてみると、「こんなはずじゃなかった」ということが次々と発生。毎日ケンカしまくり、お互いに疲れ果てて離婚と相成ったそうです。
結婚はその後の人生を大きく左右します。本当にその人でいいのか、しっかりと見定めてからするものなんじゃないでしょうか。こんな風にさくっと決めていいの?もしかして女医だからなのか?離婚後もあっけらかんとしている彼女たちを見ていて、普通だと思っていた自分の結婚観に初めて疑問を抱きました。
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著者プロフィール
織田うさこ(皮膚科医・内科医)●市中病院での初期研修修了後、皮膚科医として勤務していたが、必要に迫られて、内科も勉強しながら従事している。家庭医として地域医療に貢献。何事にも必死になりすぎるタイプ。

連載の紹介
うさコメント!
2007年、小西真奈美さん主演で放映されたドラマ「きらきら研修医」のモデルとなった織田うさこ氏が、身の回りの医師について、患者との関わりについて、医療現場で起こるさまざまな出来事について、独自の視点で語ります。
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