Cadetto.jpのロゴ画像

私を支えてくれた音楽

2011/02/22

 医者になって少し経ち、最悪だった時期がありました。

 仕事はうまくいかず、周りの同期とも先輩とも馴染めず、上司からも怒られ、友達とも疎遠になり、あげく彼氏にもフラれ、もう自分は生きててもしょうがないんじゃないかと思い始め、私はどんどん、自分を追い込んでいってしまっていました。

 疲れきって、深夜に帰宅して、無力感と虚しさに打ちひしがれて泣いて、泣く気力もなくなっても、残念ながらまた朝が来て、仕事に行かなきゃいけない。

 そんな状況で聴いていた曲が、2曲ありました。

 1つは、D-51の「NO MORE CRY」です。サビで「NO MORE CRY」と繰り返すので、もう泣かなくていいんだよと慰められる気がしました。「悲しみじゃなく 喜びの涙を流したい」という歌詞にも元気づけられました。

 もう1つは、DREAMS COME TRUEの「何度でも」です。何度失敗しても、何度ダメだったとしても諦めずに何度でもやり直せばいい、という内容の歌詞。「10000回ダメでへとへとになっても 10001回目は何か変わるかもしれない」。

 うん、諦めずに頑張ろう、何度でも頑張ろう。頑張れ私。頑張れ、こんなことくらいでへこたれてちゃダメだよ。頑張れ。きっとこのどん底を乗り越えられるし、自分はまだまだ強くなれる。

 そんな気持ちで、ひたすらこれらの曲を繰り返し聴いて、毎日必死でした。とにかく頑張れと自分の尻を叩き、目の前のことをこなし、一日一日を乗り切るので精一杯でした。

 やがて、状況が変わり、周りの環境もそれまでとは違うものになったことで、つらい状態からは脱却できました。

 にもかかわらず私は、依然、現状にも、自分自身にも不満なままで、満たされない虚しい気持ちでいっぱいでした。頑張っているのに、どこか空回りで、理想の自分にも近づけないし、どうすれば心が満たされるのかも分からない。必死だった状況から解放され、燃え尽き症候群寸前だったのかもしれません。

著者プロフィール

織田うさこ(皮膚科医・内科医)●市中病院での初期研修修了後、皮膚科医として勤務していたが、必要に迫られて、内科も勉強しながら従事している。家庭医として地域医療に貢献。何事にも必死になりすぎるタイプ。

連載の紹介

うさコメント!
2007年、小西真奈美さん主演で放映されたドラマ「きらきら研修医」のモデルとなった織田うさこ氏が、身の回りの医師について、患者との関わりについて、医療現場で起こるさまざまな出来事について、独自の視点で語ります。

この連載のバックナンバー

この記事を読んでいる人におすすめ