外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。明けましておめでとうございます。と始めながら、今回は去年のクリスマス、手術室で起こったお話をしたいと思います。
あれも3、これも3…
私は外科医の傍ら、院内で感染管理の仕事もしており、「どうやったら手術による創部の感染が減るか」を研究しています。その感染管理について、ある手術室のナース(=オペ看)とちょっとした口論になりました。手術中に患者さんの肛門を洗浄するとき、ガウンを脱いでから洗浄してもう一度手を洗うか。あるいはガウンを上に1枚着て洗浄し、身体中に浴びた便とともにガウンを脱いで手術に戻るか。どちらが適切かの議論でした。
この場合、正解を言うならば、やっぱり一度清潔野から離れて洗浄をし、再度「手洗い」をして再び手術に戻るのがいいですね。ベストは手術に入っていない医師が行うのがいいのだと思います。まあ詳細は省きますが、結果的にはお恥ずかしいことに私の思い違いであったことが判明。私は急いでオペ看さんに謝りました。本当に悪かったなあ、と思いを巡らせながら病院内の売店に昼ご飯を買いに行くと、「クリスマスケーキフェア」の表示とともにケーキが並んでいるのを見つけました。うん、謝りついでにケーキを買っていこう。そう考えた私は、チョコと抹茶と何か、小さいケーキを3つ買い、こっそりオペ看控え室の冷蔵庫に「ゴメン」と一言記した一筆箋を添えて置いておきました。
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著者プロフィール
雨月メッツェンバウム次郎●うげつ めっつぇんばうむ じろう氏。アラサーを少し過ぎ始めた現役外科医。某国立大学医学部卒業後、ほぼ毎日手術をこなす。年間200件近く手術に参加する傍ら、年に1、2回は海外学会へ、年に7回は国内の学会へ行く。メッツェンバウムをこよなく愛する。クリエイターと読者をつなぐサイト「cakes」にてコラム「それでも僕は、外科医をやめない」を連載中。

連載の紹介
迷走外科医のこじらせ幸福論
どうすれば医師は幸せになれるのか。一般読者向けの恋愛コラムを執筆してきたこじらせ外科医、雨月(うげつ)メッツェンバウム次郎氏による、明日の臨床の役には立たないコラム。たまに外科医の本音も漏らしましょう。
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