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土曜日に働いてはいけない研修医

2011/07/05

 私の病院には土曜日に働くことのできない研修医がいる。

 シャバスという、ユダヤ教徒のための特別プログラムで働く研修医のことである。ユダヤ教では、金曜日の日没から土曜日の日没までをシャバスといい、基本的に働くなどの生産的行為をしてはいけない、と戒律で定められている。

 人それぞれ信仰の度合いが違うので、ユダヤ教徒全員がこれを完璧に順守するわけではないが、敬虔なユダヤ教徒であればあるほど、シャバスを守ろうとする。シャバスの時間帯になると、エレベーターのボタンを押せないし、カルテを書くこともできない。なので、彼らは日没前に家に帰らなくてはいけないのだ。

 したがって、シャバスの研修医は金曜日には当直ができないし、土曜日には病院に来られない。研修医は毎日病院に来るのが当たり前の日本では成立しえないシステムである。一方、それに合わせて当直を編成したり、その研修医が早く帰る際にはカバーしたりしないといけないので、周りの対応は大変だ。彼らの事情は理解できても、研修医の間で不公平感が生まれることもしばしばある。そのため、シャバスプログラムを採用している病院は米国でもそれほど多くなく、ユダヤ教徒の多い地域や、ユダヤ教系列の病院に限られている。

著者プロフィール

反田篤志●そりた あつし氏。2007年東京大学卒業。沖縄県立中部病院での初期研修終了後、Nプログラムの選考を経て、09年7月よりニューヨークの病院で内科研修。特技は社交ダンス。

連載の紹介

レジデンシー in NY
ニューヨークのマンハッタンにある病院で内科研修医として働く反田篤志氏が、米国の臨床研修現場での実体験を通じて感じたことを、日本での臨床研修の経験も踏まえて語ります。

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