Cadetto.jpのロゴ画像

発達課題の題材がふんだんの『STAND BY ME ドラえもん』

2015/10/28

 今回は、昨年流行った映画『STAND BY ME ドラえもん』を取り上げて、世相を考察してみようと思います。ちなみに、ネタバレは一切ないので、安心して読み進めてください。

精神健康を保つための5つのコツ
 精神保健関係者の精神健康について、中井久夫はフロム・ライヒマンを引きながら、次のように語っています。

(1)職場を離れたら、患者のことを考えない
(2)職場からの距離をある程度保つ
(3)周囲の重要人物と1セットで仕事をしているという感覚を持つ
(4)仕事の成否に自尊心を置かない
(5)趣味のない人は神経学でも眼科学でも良いから、もう1つの医学分科に習熟する

 せのびぃは、修行中はもっとのめり込んでもよいと思うので、研修医には必ずしも当てはまらない項目はありますが、サステイナビリティを追求するときにはどれも重要だと思います。実際、4年目になって精神科医になったせのびぃは、これのうちのいくつかを実践し始めているなと感じています(笑)

 ということで、OFFの時間をしっかり取ることが重要なので、映画を見てきました。

ドラえもんは、何から何まですごい!
 実は、中井久夫は著書『「つながり」の精神病理』でサザエさんやドラえもんについて大真面目に考察しています。のび太たちが小学校何年生かということも、サリヴァンの「協力、競争、妥協」という概念を持ち出しながら考察しているので、興味を持った方はぜひ読んでみてください! ドラえもんが長年人気を集める理由の1つは、この「設定」にあると思います。

 また、『STAND BY ME ドラえもん』では、基本的信頼感の重要性をはじめ、家族や友達との葛藤、別れ、結びつきなど、発達課題についての題材がふんだんに盛り込まれており、涙なしには見られませんでした。多くの大人が、自らの幼少期・思春期・青年期を彼らに重ね合わせて、再体験したことでしょう。映画館で、子どもたちは大声で笑い、連れてきた大人たちがさめざめ泣いた、という評判もうなずけました。

 …結局映画を見ても、精神科のことにつなげているせのびぃは、ONとOFFをもっときっちり分けないといけないのかもしれません。

【参考文献】
中井久夫『「伝える」ことと「伝わる」こと』より、精神病水準の患者治療の際にこうむること(筑摩書房、2012年)
中井久夫『「つながり」の精神病理』より、漫画「ドラえもん」について(筑摩書房、2011年)

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

この連載のバックナンバー

この記事を読んでいる人におすすめ