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名人はあえてスキをみせる?

2015/08/05

 前回は、後輩にダメ出しされた初告知の場面について書きました。せのびぃはいっぱいいっぱいで余裕なんてこれっぽっちもなかったのですが、それは棚上げして、今日は面談の「余裕」について書いてみようと思います。

重要な面接は余裕を持って行うべし
 どの科でもそうだと思いますが、「重要な面接」というのがあると思います。治療方針の決定や、バッドニュースを告知するような時などがそうでしょうか。精神科では、病名告知や治療方針の変更、主治医の転勤などが重要な面接に当たります。

 このときにとても重要なのは、「余裕」を持って行うことです。

 では、余裕とは何なのか。1つ目は当たり前ですが、本人の「余裕」です。医師あるいは看護師、心理士など、医療スタッフの見た目(立ち居振る舞い)が知識や経験に裏付けされて自信と威厳に満ちているのは前提として欠かせませんよね。自信のないことを自信のないまま勧めると、大体バレます……。

 もうひとつは、時間の「余裕」ですね。重要な面接でコケてしまうと、後々禍根を残したり、結局はその後の対応に長い時間を取られてしまったりするので、必要なときには時間をなるべく制限なく使える方が望ましいです。せのびぃの数少ない経験から見ても、面接に十分な時間を用意すると意外とあっけなく終わることが多いのに、短い時間で切り上げようとすると余計に焦ってしまってうまくいかない、という印象があります。

 場所のセッティングも、余裕の演出には重要です。参加者の人数と関係性を考慮しつつ、面談室の広さを選びます。太陽の光が入る部屋なら、わざとその光を背負うのか、それともシャッターを下ろして部屋の電気だけで照らすのかといったことでも、実は大きく印象が変わります。

 また、「対立」の構図になりやすいが、毅然とした態度の演出には効果的な「机を挟んだ対面」なのか、90度の位置に座って電子カルテを挟む(キーフィルムを提示しながら進めると、治療契約を結びやすい印象を与える)のかなど、参加者の配置にも気を配ります。せのびぃは、インテリアを動かすまでの演出はめったにしませんが、熟練の先生方は、適宜カスタマイズするみたいです。せのびぃは背があまり高くありませんが、医師の体格やキャラクターもこの配置には関わってきます。

 書いていて思ったのですが、こういう細かいところに気を配ること自体に、自らの「余裕」を生み出す効果があるのかもしれません。他にも「余裕」はいろいろな要素で構成されていると思いますので、せのびぃは熟練者の技を盗もうと勉強中です。

 こういうことにこだわっているのは精神科ならではかもしれませんが、必ずや他科の先生方にも参考にしていただける部分があると思います。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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