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先生、「でも」って50回は言ってました!

2015/07/29

 前回は、スーパーバイズという制度を紹介しましたが、フィードバックを受けるのは先輩や他職種スタッフからだけとは限りません。今回は、せのびぃが統合失調症の患者さんに初めて病名を告知した時のことを振り返ろうと思います。

初告知の面談に陪席した後輩に指摘された「癖」
 だんだん精神科診療に慣れてきて、重要な面接も一人でやらせてもらう機会が増えてきた頃でした。場合によっては、精神科に入局することが決まっている後輩や、精神科にものすごく興味がある医学生を引き連れて、面接をすることも増えていました。

 そんな中、とある初発の統合失調症の患者さんを担当することになり、チームの上級医から「せのびぃ先生、今回の告知はせのびぃ先生がやってみなよ」と言われました。当時は、陪席者がいる場合は1対1の面談と違って複数の力動を気にしなくてはいけない(「すーぱーばいず、って? 多職種カンファのすすめ」)ことも知らず、後輩たちが「先生の告知、見たいっす!」と無邪気に言うのをOKしてしまったんですよね。

 告知には40分強使ったと思うのですが、せのびぃは手に汗握って背中に冷や汗もかき、ついつい多弁になった覚えがあります。不安で自信がないことに対する防衛(「知らぬ間にあなたもやっている――「防衛」ってなんだ?」)だったんでしょうね。

 患者さんは、既に「私って統合失調症なのかしら?」と聞くこともある人でしたが、告知後すぐには受け入れることはできませんでした。それでも今思えば、かなり素直な反応だったなあと思います。

 その面接が終わった後、後輩に「先生、お疲れ様でした。一つ気になったんですけど、『でも』って50回は言ってました!」と指摘されました。

 初めての告知が終わって、肩から重荷が下りたと思っていたせのびぃは、そんなことには全然気付いていなかったので、驚きました。それからというもの、逆説でもないのについ「でも」でしゃべり始めてしまう癖を治そうと、せのびぃは頑張っています。

 その後輩とは、日頃からあまり上下関係なく、同期のような付き合いをしているので、嫌な気はしませんでしたが、このメッセージは今でも強烈に覚えています。言いにくいことを言ってくれたことに感謝するとともに、こんなにはっきり先輩に言うとは度胸あるな、って(笑)。こういう癖って、人から言われないと、なかなか気付かないんですよね…。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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