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「てんかん」に苦手意識を持っていませんか?

2015/03/18

 今回は「てんかん」についての話です。日本においててんかんは、小児科、精神科、神経内科、脳外科の少なくとも4科にまたがって診療がなされ、総合内科や救急科にも緊急受診が多いと思います。認知機能低下を主訴に老年病科を訪れることもあるでしょう。それぞれ得意領域が違いますが、苦手にしている医師も多いのではないでしょうか。

 患者さん側から見ると、抱えている悩みそのものは、どの科に掛かるかによって劇的に変わるわけではありませんから、多くの医療スタッフが正しく「てんかん」を認識しておく必要があります。

発作の回数だけでなく、社会的な面も含めた精神症状がQOLを左右する
 てんかんの発作回数はもちろんコントロールしたほうがよいのですが、実は、社会的な面も含めた精神症状(うつ症状など)がQOLと顕著に相関する。これは、てんかん業界ではよく知られた事実です。

 都会で暮らしていると、車を持っていなくても生活できますし、「レジデント」は病院に住み込んでいるので気にならないかもしれませんが、運転が自由にできないと生活が成り立たない方々は、日本にも思った以上に多いようです。

 しかし、統合失調症やてんかんを持病に持っている方が事故を起こしたときの報じられ方はセンセーショナルです。ですから、「本当は運転しているけど、先生には相談できない。だって、話したらやめさせられちゃうから…」と悩んでいる患者さんはかなり多いと言われています。現行の制度だと車に乗ってもよいと許可を出す医師にも責任があるので、医師自身も「もうほぼ間違いなく乗っていいし、生活に車は必須。だけど、絶対に発作起こさないかまでは分からないよな……」と躊躇してしまうことがあるかもしれません。

 年単位で考えなくてはいけない疾患ですし、「てんかんを持っている事実」自体が抑うつの原因にもなり得ます。若い女性では、抗てんかん薬の胎児奇形リスクを知り、「妊娠しちゃいけないのかなぁ」「でも、先生には発作を止めてもらってるし、相談できない…」という方もかなりいます。多くの場合、自然妊娠でも奇形発生のリスクがあることを患者はあまり知らず、抗てんかん薬による奇形発生リスク上昇を大きく考えすぎています。

 とはいえ、このリスクというのは、非常に主観的なものなので、まさにこの点が医師と患者でじっくり話し合うテーマです。この相談に乗るだけでも、「人生が変わりました!」と言ってくれる方もいました。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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