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祖父の他界、悲しみを和らげるために考えたこと

2015/01/21

 今回は、ちょっぴりしんみりした話をしたいと思います。実は、先日せのびぃの祖父が他界しました。急死でした。もともと持病が悪化気味だったので、せのびぃ自身は驚きが小さかったですが、母のダメージは大きかったようです。そんな祖父のために、せのびぃがしてあげられたことはあまりないのですが、社会資源の活用を提案して間接的に支援できたことは、精神科医としての役割を果たせたかと思っています。

社会資源を導入できるかどうかで大きくQOLが変わる
 せのびぃは精神科医になってから、社会資源とはこんなに重要なことなのに知らなかったんだ!と気付きました。ぜひ、他科の先生にも存在を知っていただきたいので、ここで一部をご紹介します。

 まず、日本という国は、医療と介護を制度的に分けている一方で、介護の導入のためには医師の意見書が必要(≒一度は医療を受けることが必要)という、ねじれた構造になっていることを理解する必要があります。ある程度高齢になってからは、医療と介護は不可分になりますが、医療者の責任は重いのです。

 介護保険は65歳以上に適用されますが、40歳から64歳でも定められた疾患を持っている場合などは給付の対象になります。ご自身や周囲の人が関係する疾患がないか一度見ておくとよいかと思います。

 要介護認定の申請は、慣れればルーチンワークですが、慣れていないとその発想に至らない可能性すらあります。解決方法は分からないけれど困っていることがあるときは、ソーシャルワーカー地域の保健師に連絡をすると、丁寧に教えてくれることが多いです。他科コンサルトもそうですが、実力不足の時はどこに連絡すれば助けてもらえるかを知っておくことが、なにより重要ですよね。

 介護の枠組みが使えるようになると、ケアマネージャーが様々な提案をしてくれます(もちろん人によりけりですが)。訪問介護や施設利用などはもちろん、条件を満たせば家屋のリフォーム代金なども介護給付から捻出することができます。

 介護保険が使えない場合も、地域の保健師に連絡してみると、その地域で使いやすい社会資源を教えてくれることがあります。たとえば、訪問看護が盛んな地域、往診が盛んな地域、デイケアショートステイが優れている施設など、地元のことは地元の人に聞くのが一番です。

 精神科でも、病名がつくと使えるサービスが一気に増えます。精神障害者保健福祉手帳障害年金、心身の障害を除去・軽減するための医療費であれば公費による補助で自己負担額が軽減できる自立支援医療などなどです。もちろん、手帳を取りたくないのであればそれも自由なので、これは本人と相談です。

 ちなみに、てんかんや認知症でも公費負担医療制度である自立支援医療制度を使うことができます。

 入院などで医療費の自己負担額が高額になった場合に高額療養費制度を使うことができるのは周知の事実だと思いますが、得てして医師は「この医療行為にいくらかかっているのか?」ということに疎いので、慢性疾患を長期にコントロールする場合には注意を払う必要があります。

 結局、内科的な完璧なコントロール(メディカルな話)よりも、いかに生きるか(ソーシャルな話)の方が、患者さんのQOLに直接影響する可能性が高いわけです。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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