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せのびぃ、島の医療から学ぶ(その3)
医者は「公共資源」と理解している島民たち

2014/09/24

 前回のコラムでは、島の医師はこんなことまでやるのかという驚きを書きました。とはいえ、いくらジェネラルに診られる先生方も、何でもできるわけではありません。そのようなときはどう対処しているのでしょうか。

看護師も患者もすごい!
 やはり、ものをいうのはベテランナースの経験なんですね。せのびぃも、対処がよくわからないときにはすぐに「普段、こういうときはどうやってます?」とナースに教わっていました。

 場合によっては、受診した患者さん本人に同じセリフで尋ねることもありました。患者さんは不思議な顔すらせず、「いつも、こうやってるよー」と慣れた様子で処置を教えてくれました。「あれ?受診する必要はあったんだろうか?」と、ときに思ったのは内緒です。

 基本的には受付順の診察ですが、緊急性のある患者さんが来院したら、事務員と看護師の判断で自動的にトリアージされているのにも感心しました。

 受診時に主訴と受診理由をハッキリさせることは精神科でも非常に重要なことです。時間が限られた医療の現場でも、この2つを明確にするのがやはり重要だと思いました。中には「薬だけくれれば、代診医の診察なんていらんのや!」という患者もいるかもしれません(みなさん優しいので、そんなことは言われませんでしたが)。お互いの時間節約のためにも、満足感のためにも、余計なおせっかいはせず地道に主訴に対応していくのがよいのだと再確認できました。

 以前のコラム(“町のお医者さん”から学ぶべきたくさんのこと )で、時間を味方につける、という話を書きました。今回のような島の医療でも、検査漬けにせず、再診をうまく使っていくのがコツだなあと改めて思いました。毎日外来に出られるわけですから、患者・医師の信頼関係を作り、検査は最小限にして頻回受診してもらう方が良い時もありますよね。

 島の人たちは、医者が3人しかいないことはよく知っていて、せのびぃが代診に来ることも知っていました。医者がある意味「公共の資源」であることが共通理解なので、軽症での夜間救急受診は極力避けてくれるし、待ち時間が長くても午前中の受付時間内に受診してくれました。夕方ならほぼ待ち時間ゼロで救急受診できるのですが、きちんと受付時間内に受診しようとしてくれるところに高いモラルを感じました。

 このモラルが崩壊し、医師が24時間365日診療所に縛り付けられたら、結果的に島民皆さんが損をする、ということを共通理解として持っているのではないかと感じました。この「不便なことも受容する」ということは、内地の人々にも見習ってもらいたいものだと思いました…。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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