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せのびぃ、初期研修を修了する

2014/03/26

 ついに、長いようで短かった2年間の初期臨床研修が終わります。引越しも終わり、同期もそろそろみんな新居から通ってきているようです。Facebookには、名残惜しい別れと新しい出会いの写真が並び、年度末を実感させられます。

 せのびぃも例外ではなく、病院から目と鼻の先の寮に住んでいた今までとは違い、朝早くから電車を乗り継いで、久し振りの通勤ラッシュを体感しています。

 さて、初期研修の締めくくりたる今回は、4つのDについて書きたいと思います。

Detect, Describe, Discussion, Diagnosis
 とある先生が、診断においては、4つのDが大切だ、と教えてくれました。4つのDとはすなわち、Detect、Describe、Discussion、Diagnosis。それぞれ発見、描写、議論、診断、とでも訳せるでしょうか。このうち、研修医でも役に立てることは、DetectとDescribeだ、というのです。

 確かに、全身の所見については、上級医よりもむしろ研修医のほうがアクセスよく、さらには上手である可能性すらあります。そのために各科をローテートしてますしね。

 まず、何かの所見をDetectするのが重要ですが、その所見が何を意味しているのかわからないこともしばしばあります。そんなとき、正しくDescribeできているでしょうか。

 せのびぃは、昨年外来で、1週間続く軽度発熱と前日からの発疹を主訴に来院した若い女性を診察したことがあります。フワーッとした淡い紅斑が四肢に出てきていました。数日前に近医から抗菌薬が処方されていたことと、濃厚な膠原病の家族歴があったため、一瞬、薬剤性の皮疹(あるいは伝染性単核球症)か膠原病を考えてしまいました。

 しかし、小児科を回っていた自分は「こういう皮疹はエンテロウイルスかアデノウイルスに多いって習ったな~。でも、アデノってA群β溶連菌と間違いやすいんだよな~」と思い留まります。少し扁桃も腫れていたので、抗菌薬投与を行うかの判断のため、溶連菌の迅速検査だけ提出しました。

 すると、返ってきた検査結果は思いのほか陽性。とりあえずアモキシシリン500mgを1日3回(1500mg 分3)で処方しましたが、なんとなく診断に引っかかりがあったので、皮疹の写真を撮らせてもらい、後で他の先生にも見てもらうことにしました。

 数日後、内科の上級医にもっと詳しい病歴と写真を見せてアドバイスを求めたら、「先生、これさ~、猩紅熱だよ、猩紅熱」と教えてもらいました。

 言われてみれば、喉が痛くて発熱し、その後から手掌足底にかからない四肢優位の紅斑が出現していました。研修医でも、写真の力を借りながら、正しいDetect & Describeができた、ということです。そして、自分は「猩紅熱」という単語に変換できなかったものの、上級医の助言によって最後まで正しくDiscussion & Diagnosisがなされた、という一例となったのです。

 ここでの教訓は、「知らない病気、 知っていても鑑別にあがっていない病気は診断できない」こと。そして「自分に知識がなくても、写真などのデバイスを上手に使ってDetect & Describeできれば、誰かが軌道修正してくれるかもしれない」ということでした。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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